元プロ 父との「縛り」越え 熊本工・田中大翔選手、背番号16自力でつかむ

西日本新聞 社会面

 夏の甲子園5日目の10日、熊本工(熊本)が山梨学院(山梨)との初戦に臨む。ベンチ入りを果たした田中大翔(ひろと)選手(3年)の父は6年間、プロ野球オリックスの選手だった熊工野球部OBの雅興さん(42)。同じ学年には元中日の荒木雅博選手もいた。誰もがうらやむ野球環境に見える。でも父と野球を素直に楽しめないある事情があった-。

 神戸市出身の田中選手は幼い頃から野球に親しみ、プラスチックのバットとゴムボールを手に父とよく公園で遊んだ。引退後もオリックスの球団職員の父は誇らしい存在だった。

 中学では、打撃に重要な体重移動のこつを教わり、打球は遠くまで飛ぶようになった。難しい内容でも、父の指導だと理解できた。

 高校で本格的に野球を習おうと胸を躍らせていた中学3年の夏。新聞で、プロ野球関係者による高校生や大学生の指導を原則禁じる日本学生野球憲章の「プロアマ規定」を知った。退団した元選手は資格を取れば指導できるが、現役の2軍マネジャーの父は対象外だった。日本高野連によるとキャッチボールでも規定に触れる恐れがあるという。

 父はプロアマ規定を話題にしなかったが、田中選手は家で野球の話題を避けるようになった。父の母校の熊工に進学を決め、熊本に向かう直前。久しぶりにキャッチボールをした。「父が本気で投げた球は、やっぱり強烈だった」

 父の実家から通学している。父は熊本までよく様子を見に来てくれた。ライバルとの激しい競争の中、不調な守備の助言など、聞きたいことは山ほどあった。でも言い出せなかった。

 高校では自力で念願の背番号「16」を手にした。仕事のため10日の試合をテレビで応援するという父に、成長した姿を見せたい。今でも「特別で誇らしい父さん」。そう思っている。

 大学でも野球を続け、社会人野球を目指したい。プロアマ規定の縛りから解き放たれるまでは“ぎこちない父子関係”がまだ続きそうだ。「次にキャッチボールするときには、父さんが驚く球を投げられるといいな」

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