核廃絶「背向ける」国に危機感共有迫る 長崎平和宣言

西日本新聞 一面

 長崎市の平和宣言は「核の傘」に頼る日本政府の立ち位置を鋭く指摘し、令和の時代になっても「核兵器なき世界」への具体的行動を起こさずにいる現状に対し、被爆地のいらだちを真っすぐにぶつけた。

 「日本は今、核兵器禁止条約に背を向けています」。この強い言葉が平和宣言に盛り込まれたのは、被爆者や有識者らでつくる起草委員会が終結した後だった。最終会合から9日後の7月15日、長崎原爆資料館に被爆者を含む委員数人と田上富久市長が非公式に集まり、意見を出し合った。

 核軍縮を巡る米ロの対立は先鋭化するばかりで、中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効は避けられない局面となっていた。2年前に国連で採択された核禁止条約の発効は道半ばで、唯一の戦争被爆国である日本の政府は、核軍縮の枠組み崩壊が軍拡競争に直結しかねない現実にも口を閉ざしているように見えた。

 「ストレートな強い意見をぶつけるべきだ」。出席者の一人の言葉に反対はなく、当初の文案にあった「条約を支持する立場に立っていない」という遠慮気味な表現は「背を向けている」と書き換えられた。

 平和宣言は「核兵器はいらない、と声を上げよう」と世界中の市民に訴えた。被爆地の強い危機感は、面前で聞いた安倍晋三首相に届いたのか。首相は式典で重ねて言及した核保有国と非保有国との「橋渡し」の明確な道筋を描けているのか。被爆地と政府の間にある深い溝を埋める覚悟が、被爆国のリーダーに問われている。

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