戦争の跡を訪ねて(1)爪痕 暴発伝えるひび 大分県佐伯市・丹賀砲台

西日本新聞 社会面

 明かりに照らされた巨大なコンクリートの筒。壁の表面に無数の凸凹やひび割れが浮かぶ。暴発事故の爪痕を今に伝える「悲劇の砲台跡」だ。

 豊後水道に突き出る大分県佐伯市の鶴見半島。豊かな漁場がある、九州最東端の港町に砲台跡は残る。最大傾斜45度の斜坑をリフトで昇った先に直径10メートル、深さ12・8メートルの縦穴。巡洋艦の主砲を転用した丹賀砲台(1933年完成)だ。

 42年1月、実射訓練中に砲身内で暴発事故が起き、軍人ら16人が亡くなった。壁の傷は爆発の激しさを物語る。今はドーム状の屋根で雨風を避け、一般公開もしている。

 市から管理を委託された小林直幹さん(78)は、自身の親族を暴発事故で失った。語り部として来訪者に戦争のむなしさを説く。「幼い頃は慣れ親しんだ遊び場やった。今は追悼と平和を願う象徴になっとる」

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 戦禍を伝える貴重な「証人」ともいえる戦争遺構が何を語り掛けるのか、一枚の写真を通して考える。

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