引きこもり相談急増 北九州市の支援センター 元農水次官事件受け

西日本新聞 北九州版

 元農林水産事務次官の父親が引きこもる息子を殺害した事件などを受け、北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」(戸畑区)への家族や当事者からの相談数が急増している。80代前後の親が50代前後の子どもを支える中で、当事者らの高齢化で行き詰まる「8050」問題という難しい相談事例も増えており、市も体制の強化が必要だ。

 事件発生の6月1日以降、「うちも同じようなことになるのではないか」などと、6月の相談件数は前年同月比47・4%増の261件に、7月は同21・6%増の225件に増えた。4~6月の相談者層をみると、親を含む親族約57%、当事者約22%などとなっている。

 「父親が救急搬送された」。今年1月、女性から電話があった。80代の父親と2人暮らしだった引きこもりの40代弟の今後を心配してだった。引きこもりは約20年と長期化。同センターは父親が亡くなった後、男性の引っ越しや生活保護の受給手続きなどを支援し、その後の生活基盤を半年掛けて整えたという。

 昨年も、同居する80代の父親が倒れたと、40代男性から電話があった。「人生をやり直したい」と今は就労訓練をしながら、就職を目指すところまできた。

 2018年度に相談に応じた当事者285人のうち、40歳以上が約22%を占め、その比率は年々上昇している。市は、市内で暮らす40~64歳のうち、引きこもり状態にある人が4千人規模になると推計する。

 同センターの職員は3人だが、18年度の累計相談件数は2288件。電話、来所に加え訪問活動も実施している。最近は県内の周辺自治体にとどまらず、山口、大分県など県外からの相談もあり、その対応に追われている。

 今後の相談体制について、市精神保健福祉課は「重要な課題と認識しており、区役所やほかの機関と協議し、在り方を検討していきたい」としている。

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 市内には、再就職などを支援する国などの「北九州若者サポートステーション」、さまざまな悩みを抱える若者相談に応じる北九州市子ども・若者応援センター「エール」もある。ともに15~39歳が主な対象。市は、これらの利用も呼びかけている。

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