「戦争語る遺品」後世に 福岡・小竹町の武富さん 私設資料館40年、紹介本出版

西日本新聞 社会面

「ふれてください戦争に―遺品が語る戦争の実相―」を終戦記念日に出版する武富慈海さん 拡大

「ふれてください戦争に―遺品が語る戦争の実相―」を終戦記念日に出版する武富慈海さん

 福岡県小竹町で「兵士・庶民の戦争資料館」を運営する武富慈海さん(70)が終戦記念日の15日、著書「ふれてください戦争に-遺品が語る戦争の実相-」(燦葉(さんよう)出版社)を出版する。資料館の開設40周年を記念し、収蔵・展示する戦争遺品を紹介する内容。武富さんは「遺品が遺品を呼ぶ資料館は戦争の記憶の蓄積。後世に継承するため本にまとめた」と話す。

 資料館は1979年7月、旧日本陸軍兵として出征した父登巳男さんが創設。登巳男さんが2002年に亡くなってからは母智子さん(93)が2代目館長、武富さんは副館長を務める。

 2人は病気を患っており、「動けるうちに遺品について調べたことや、提供者に聞いたエピソードをまとめたい」(武富さん)と、5年ほど前から原稿を書きためていた。

 「ふれてください-」は「兵士と軍関係」「戦時下の生活」の2部構成。遺品ごとに計113項目から成り、戦争のディテールが写真とともによみがえる。

 「認識票」の項目では、「軍人各人に持たせる身分表示の鑑札」として形状を説明。「ヒヤリと冷たい感触はまさに死の予告。兵隊たちは『地獄行き鑑札』『靖国神社入場券』などと呼んでいた」と記した。

 「義眼」の項目では、戦闘で左目を失明した男性が、皇后陛下(当時)からガラス玉の義眼を下賜された経緯を紹介。男性は「戦争体験者として考え方、やり方に共鳴できる」として遺品を資料館に提供するよう遺言し、妻が1986年に100点以上を寄贈したという。

 武富さんは「本は資料館40年の集大成。いつ戦争の時代になるか分からず、誰も無関心ではいられない。特に若い人は未来を考えるうえで、遺品が語ることに耳を傾けてほしい」と話している。

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