議会バリアフリー手探り 議場にスロープ、代理投票 九州、介助費補助に差

西日本新聞 一面

九州各県と政令市の議会のバリアフリー状況 拡大

九州各県と政令市の議会のバリアフリー状況

 れいわ新選組から重い身体障害がある参院議員2人が誕生したことで、今月上旬に開かれた臨時国会は、バリアフリー化が大きなテーマとなった。生活者により身近な地方議会はどうか。九州各県や政令市はハード面の環境整備を進めているが、国会でも焦点となった「議員活動中の介助費の公費負担」については対応がばらばら。誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、有識者は議会自らが積極的に関わり、議論するよう訴えている。

 福岡県築上町議会で5日に行われた議長選。江本守町議(63)は各議員名の点字が書かれた十数枚の短冊状の紙を指でなぞった。江本氏が意中の議員名の紙を示すと、議会事務局職員は投票用紙に代筆し1票を投じた。

 7月末の町議選で初当選した江本氏は、町政で初めての全盲議員。議会は議長権限で代理投票を可能にし、議場に通じる廊下のロッカーやごみ箱も撤去した。議場へのルートには点字ブロックがないため、議会開会中の移動には当面、職員が付き添う。

 ただ、予算書など行政資料の読解や議場外の行動をどうサポートするかなどは未定。議会事務局は「議員活動に不自由がないよう支援したい」としているが、障害のある議員に対する支援の蓄積に乏しい一般市町村は手探りなのが実情だ。

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 人口規模の大きい九州の県や政令市は、車いすの議員を念頭に議場などのバリアフリー化に努めてきた。議員が質問に立つ演壇へのスロープ設置が構造上難しい福岡、大分や、来年度以降に議場の改修を検討している佐賀を除く4県3市が対応を済ませ、大半は壇の高さも調整できる。

 障害や病気などにより車いすを利用する議員の在籍歴がある福岡、熊本、長崎、鹿児島、宮崎5県や熊本、北九州の2市は代理投票や採決時に起立できない場合の挙手を認めている。

 傍聴人への配慮も充実。各県と政令市は車いす用スペースを設け、聴覚障害者が聞き取りやすい特殊なイヤホンを貸し出したり、手話スタッフの手配ができたりする県や市もある。佐賀県は本年度、議会棟のバリアフリー化予算を約1300万円計上し、傍聴席への動線に点字ブロックや手すりを設ける。

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 介助にかかる費用を公費で負担するかどうかについては、自治体で差がある。

 熊本県は2015年まで務めた車いすの議員のため、事務局職員の旅費規定を準用して宿泊を伴う視察に同行する介助者の交通費や宿泊費を公費で賄った。熊本市は車いすの市議が初当選した11年から同様の措置。鹿児島県も今年4月に誕生した車いすの新人議員に同等の対応を取る方向で検討しており、北九州市も前向きに議論する方針だ。

 かつて車いす利用議員がいた福岡、長崎、宮崎3県には、こうした仕組みがない。「議員本人が他の議員と変わらない対応を希望した」(宮崎県)などが理由だ。希望にかかわらず公費負担とする仕組みを作った上で選択可能にすべきだとの声もあるが、ある県の担当者は「要望がない限り難しい」と打ち明ける。

 埼玉県立大の朝日雅也教授(障害者福祉)は「地方議会のバリアフリー化は住民目線の障害者福祉の議論を活発にし、施策を向上させる」としており、議会や自治体は障害者が政治を目指しやすい環境整備に力を入れるべきだと説く。

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