特殊詐欺 固定電話のリスク警戒を

西日本新聞 オピニオン面

 金に困った孫らを装う特殊詐欺の手口は日増しに巧妙になっている。犯人は特に高齢者宅を狙い、あえて固定電話にかけるケースが多い。

 お盆の時期は、実家への里帰りなどで家族3世代が対面する機会も増えよう。自宅にある固定電話の使い方についても話題にし、注意を呼び起こしたい。

 特殊詐欺は、数年前まで不特定多数の人に電話し、現金自動預払機(ATM)から金を振り込ませる方法が主流だった。

 それが今では、自宅を堂々と訪れ、本人からキャッシュカードや現金をだまし取るケースが後を絶たない。

 電話でまず警察官などを装い「銀行口座が悪用されている」などと告げて相手を焦らせる。続けて別の人間が銀行員などを名乗って電話をかけ、「口座を止めるには費用が必要」などと言って自宅を訪れる。

 問題なのは、犯人が狙う相手の正確な住所、氏名、電話番号を知る手段である。悪用していると疑われるのは、それらを掲載した紙媒体の個人版電話帳だ。NTTによると、情報掲載は希望者のみだが、1度掲載すれば、申請するか、固定電話の契約を解除しない限り、削除されない。数十年前に掲載された情報が残っている場合も多い。

 電話帳は、携帯電話の普及とともに部数は激減しているが、それでも2017年度は830万部余りが全国で発行された。かつては、各家庭の必需品とも言える存在だった。今でも人によっては役に立つ情報サービスの一つだろう。

 とはいえ、本当に個人の電話番号などの情報を掲載する必要があるのか。詐欺被害リスクも考慮して再考の必要があろう。

 インターネット上には、電話帳の内容を基にしたかのような電子版の電話帳も存在する。NTTは「無関係」と説明しており、作成者は判然としない。

 いずれにしろ、固定電話機の留守録機能を利用し、呼び出し音が鳴ってもすぐには出ず、録音を聞き直すなどして相手や要件を冷静に確認したい。

 「○△さんのお宅ですか」と正しく名前を呼ばれても、相手は電話帳を見ながら通話している可能性がある。公共機関を名乗り、折り返しの電話を要求する場合もあるので要注意だ。

 特殊詐欺の認知件数は、対策が進んできたため減少傾向にある。それでも18年の被害総額は350億円余りに上った。

 内閣府の調査によると、特殊詐欺に「自分はだまされない」と思う人は8割を超えている。しかしそういう人ほど、多様化した詐欺師の手口にはまりやすいとの指摘もある。過信を自戒し、被害を防ぎたい。

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