米、対中制裁を一部延期 消費者反発に危機感

西日本新聞 国際面

 米国が中国から輸入するほぼ全ての製品に9月1日から追加関税をかける「第4弾」の制裁について、トランプ大統領が13日、発動の一部延期を決めた。負担増が必至の米企業や消費者の不満をかぎ取り、景気の腰折れを避けるためにも軌道修正を急いだ格好だ。だが、強硬策の結果、自ら招いた問題に場当たり的な対応を強いられたのが実情。来年の大統領選に向けこうした迷走が続けば、野党民主党に格好の批判材料を与えかねない。

 米通商代表部(USTR)によると、中国からの輸入品3千億ドル(約32兆円)分が対象となる制裁第4弾のうち、10%の追加関税の発動を12月15日まで延期する。具体的にはスマートフォンなど電子機器や一部の衣類、靴、おむつといった生活に身近な商品。トランプ氏は13日、記者団に「クリスマス商戦で関税の影響が消費者に及ばないようにする」と述べ、個人消費の落ち込みを懸念した上での判断と明らかにした。

 対中追加関税について、トランプ氏は「負担するのは中国側だ」と言い張り、米企業や消費者への影響を否定し続けてきた。だが、消費者に大きな打撃となり得る第4弾には経済界のほか、政権寄りの保守系メディアでさえトランプ氏や側近を痛烈に批判している。

 東部メリーランド州の主婦(62)が「大統領は値上げで庶民が苦しむことを分かっていない。2期目は任せられない」と憤るように、市民の間にも不安や怒りが急速に広がっていた。

 先週から夏休みに入ったトランプ氏は、有力な支持者との非公開の集会などでこうした批判に直に触れ、危機感を強めた可能性があり、素早く火消しを図ったとみられる。「昨日(12日)、中国側と電話で非常に生産的な話ができた」と述べるなど、中国への強硬姿勢を再び一転させ、融和姿勢をにじませながら、米中貿易協議の前進を目指す構えをみせる。

 中国商務省もこの問題について、劉鶴副首相とライトハイザー米通商代表らが電話で協議し、2週間以内の再協議を約束したと発表した。ひとまず交渉を継続する環境を整えた格好だが、トランプ氏が中国に譲歩すれば民主党からの「弱腰」批判は避けられず、貿易協議が大統領再選への外交成果どころか、大きな失点になる危険性をはらむ。 (ワシントン田中伸幸)

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