特攻隊の訓練拠点だった大刀洗飛行場の歴史を伝える大刀洗平和記念館(福岡県筑前町)を訪ねた…

西日本新聞 オピニオン面

 特攻隊の訓練拠点だった大刀洗飛行場の歴史を伝える大刀洗平和記念館(福岡県筑前町)を訪ねた。スタッフが唐突に「上をご覧ください」と促す。何げなく天井を見上げると飛行機の形をしたフレームが

▼「これが米爆撃機B29の大きさです」。翼の端から端まで43メートル、全長30メートル。こんな機影が頭上に現れたら…。その大きさにたじろいだ

▼1945年、この地で巨大機の爆撃の犠牲になったのは31人の児童だった。警報が鳴り「頓田(とんた)の森」に逃げ込んだところを爆弾に直撃された。うち24人は即死。爆風の防御姿勢として教えられた通り、耳を押さえ、目をつぶり、うつぶせのまま一瞬で帰らぬ人になった

▼特攻隊員の遺影が並ぶ部屋を巡り、映写室で「焼き場に立つ少年」の朗読を聞く。スクリーンには、長崎原爆後、動かぬ赤ん坊をおぶった少年が直立不動で火葬の順番を待つ写真。ローマ法王が「千の言葉より伝える力がある」と語ったことで注目された1枚だ。撮影した元米海兵隊員の生前のインタビューをまとめた文章を、女性が心を込め読み上げた

▼幼い体が火に溶けるシューという音。炎が少年の頰を赤く照らす。「その時です、炎を食い入るように見つめる少年の唇に血がにじんでいるのに気がついたのは」。ふと気がつくと筆者の頰に涙が伝っていた

▼きょうは74回目の終戦の日。奪ってよい命など一つたりともないと、深く胸に刻みたい。

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