【きょうのテーマ】こどもと戦争 実物で学ぶ 「兵士・庶民の戦争資料館」 武富慈海さんを講師に

西日本新聞 こども面

 ●戦争は、今も消えない大きな傷跡を残している

 きょう8月15日は「終戦記念日」です。太平洋戦争(1941~45年)の間、こどもたちはどんな生活をしていたのでしょうか。軍服などの実物を展示している民間施設「兵士・庶民の戦争資料館」(福岡県小竹町)副館長で、戦争中の市民生活に詳しい武富慈海さん(70)を講師にまねき、西日本新聞社(福岡市)で勉強会を開きました。第9期のこども記者10人が参加し、同館が所蔵する当時のこども向け新聞などを基にした話を聞きました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=こどもと戦争 実物で学ぶ

 こども向け新聞の名前は「少国民新聞」で、武富さんはいろいろな記事を紹介してくれた。

 42年6月の記事「大戦下の夏休み 鍛錬の団体旅行もよし」を読むと、現在と変わらない約1カ月の夏休みがあったことが分かった。記事にある「戦争下の最初の夏休みです。うんと心身を鍛えましょう」という言葉に、こどもたちは休み中も戦争のことを忘れることはなかったと知った。

 戦争末期の44年4月には「空襲にそなえて学童も集団疎開」という記事があった。疎開とは空襲で狙われる都会から地方へ、人や工場などを移すことだ。記事には「知らぬところに行くのは心細いと、疎開をいやがるような子はそれこそ卑怯者」と書かれていた。

 こどもが小遣いをためて軍に献金したという記事が毎日のように掲載されていた。武富さんから「こどもたちは『お国のために』と真心をささげたが、戦争で命を落としたり、家族を失うなどつらい思いをした」と聞き、胸が痛んだ。

    ◇  ◇

 武富さんの資料館は、元日本兵の父・登巳男さん(故人)が「兵士の遺品を通じて戦争の記憶を若い人に伝えたい」と79年に独力で開設。元兵士らから集めたり、寄贈されたりした展示物約2500点すべてに触ることができるのが特徴だ。

 私たちは武富さんが持ってきた重さ2キロの鉄かぶとをかぶり、リュックサックのような「背のう」を背負った。重りを入れた背のうの重さは6キロ。行軍(戦地を歩いて移動すること)で兵士が背のうに入れた食料などの重さだという。立っていられないほどの重みを感じたが、「この荷物に加えて、重さ5キロの小銃もかついで兵士は1日2、30キロ行軍した」と聞き驚いた。

 戦地に行く兵士の無事を祈って女性たちが赤い糸で玉を作り布に縫い付けた「千人針」にも触った。指先から「無事に生きて帰ってきて」という強い願いを感じた。父や兄を送り出し、残された母と帰りを待つ、こどもの心は不安でいっぱいだっただろうと思った。

 武富さんは「戦争で解決できる問題はない。ひとたび始めれば、より多くの問題を生み、次の戦争につながる」と語り、「戦争で傷つくのは名もなき市民、特に君たちこどもだと知ってほしい」と力を込めた。

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 「兵士・庶民の戦争資料館」では9月8日まで、戦時中のこども向けの新聞や雑誌を紹介する企画展を開催。入場無料。電話での予約が必要。同館=09496(2)8565。

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