富士町からMTB発信 福岡市から移住・増永さん 17、18日に競技大会

西日本新聞 佐賀版

 「マウンテンバイク(MTB)の魅力を広げたい」-。そんな夢を描き、福岡市から昨秋、佐賀市富士町に移住した男性がいる。同町でMTB店を経営する増永英一さん(46)だ。地域住民と交流を深めながら7年前、同町苣木(ちやのき)地区の山林にコースを設置し、今年も17、18日に競技大会を開く。すっかり地元に溶け込む増永さんはMTBだけではなく、都会にはない地域の良さも発信するつもりだ。

 「ぬる湯」で知られる古湯温泉街から車で約5分、資材置き場にある長さ12メートルのトレーラーと小屋が増永さんの住居兼職場だ。周囲には24時間営業のコンビニエンスストアやスーパーはない。「周囲に何もないから夜遊びはできないが住めば都」と笑う。

 福岡市中央区でMTB店を経営していた2012年春、お客とともに苣木地区を訪れた。MTB愛好家たちの「遊び場」となるコースを作るためだった。

 コースは山を切り開いて作るため、地域の住民からは敬遠されがちだ。ただ、苣木地区の住民は30人ほどでお年寄りばかり。道路清掃や草刈りなど「区役」と呼ばれる集落の営みには若い人手を必要としていた。増永さんは区役に参加する条件で住民の理解を得た。

 2年前からは「ちやのきエンデューロ」と銘打ち、MTBの競技大会を開催。昨年は集落住民の倍近い約60人が全国から集まり、にぎわった。

 「苣木の地名を多くの人に知ってもらえた」。一定の充実感を得られた一方、「サーフィンの店は海近くにあるのにMTBの店はなぜ山にないのか」との長年の疑問が頭をもたげた。「やはり山にあるのが自然だろう」。一念発起して福岡市の店舗をたたみ、昨年10月、古湯地区に移住した。

 「まずは地域に溶け込みたい」。自治会の行事には率先して参加し、温泉旅館から風呂掃除を頼まれれば二つ返事で駆けつけた。最近は中型免許を取得し、マイクロバスで温泉旅館の客を送迎している。

 「困った時はお互いさまだ。地域のみんなも『困ったら何でも言って』と声を掛けてくれる。本当に情に厚い」と増永さん。

 肝心の本業では昔からの顧客のほかに、苣木地区のコースと店舗が近くなったことで初心者も来店するようになった。将来的にはバーベキューもできる飲食スペースを設け、家族連れでも楽しめるようにすることでMTB愛好家の広がりを狙う。「都会では得られなかった強みが富士町にはある」。その姿は、地域の担い手の1人になっている。

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 MTBの競技大会「第3回ちやのきエンデューロ」は17日、出場者の公式練習がある。18日は午前9時から競技が開始。観覧無料。

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