御笠団模造印見つかる 古代大宰府に配備された軍団の銅印 所有権騒動裏付け

西日本新聞 ふくおか版

 古代大宰府に配備された御笠(みかさ)軍団の銅印「御笠団印」(国重要文化財)の模造印が、県内で見つかった。1927(昭和2)年に太宰府市で出土した御笠団印をめぐり、当時の新聞に「所有権騒動で模造印5個が作られた」とする記事があり、今回見つかったのはその1個とみられる。当時の騒動を裏付ける物証となりそうだ。

 見つかった模造印は高さ約5センチ、印面約4センチ四方で、小郡市の男性(63)が骨董(こっとう)収集マニアの知人から入手。知人は「福岡市内の旧家の屋根裏から見つかった」と話したという。

 九州歴史資料館が蛍光エックス線分析装置で調べたところ、古代にはほとんどない亜鉛を検出。古色の保全用に使われる現代の絵の具成分も出なかったことから「昭和初期に作られた可能性が高い」と判断された。

 本物の御笠団印は、昭和初期に太宰府市国分の桑畑で農家により偶然発見された。古代郡名から採った「御笠團印」の4文字を2字ずつ、縦2行に陽刻している。

 発見7年後の34年10月10日付の九州日報(西日本新聞の前身)によると、古瓦調査で太宰府に来た旧制福岡高校教授が御笠団印が発見されたことを知り、寄贈を要望。所有者の農家は返事を保留していたが「東京で鑑定するので貸して」と頼まれて応じると後日、模造印と寄贈礼状が来た。農家の怒りを知った知人が、旧制福高の校長や歴史担任教授らを詐欺や恐喝、印鑑偽造などで告発した、とする。

 結局、御笠団印は地元の警察署でいったん所有者に返された後、所有者が拾得届を付けて地元署に提出。その後、東京国立博物館に保管され、現在に至っている。

 かつて太宰府市文化財課に勤務し、御笠団印発見の経緯を検証した元興寺文化財研究所(奈良市)の狭川真一副所長は「発見後のもめごとから複数の模造印が製造されたことを裏付ける物証で、面白い発見だ。発見者宅に届けられた1個のほか、あと3個あるはずで今後、出てくることを期待したい」と語った。

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【ワードBOX】御笠団印

 奈良時代の律令国家が地方に置いた軍隊「御笠軍団」の銅印。この発見により、地方軍団の存在と名称が実証された。大宰府があった筑前(福岡県北西部)には御笠軍団など4軍団が配置され、御笠団印を巡る所有権騒動を報じた九州日報のスクープは、筑前・遠賀(おか)軍団の団印(国重要文化財、東京博物館所蔵)発見に結びついた。

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