戦争の跡を訪ねて(5)廃虚 潮風を受けて時を刻む 長崎県川棚町・片島魚雷発射試験場

西日本新聞 社会面

 波穏やかな大村湾の先に夕日が沈んでいく。入り江に灯台のような建物があり、桟橋には陸地から魚雷を運ぶためか、レール跡が刻まれていた。そこには当時、片島魚雷発射試験場(長崎県川棚町)があった。

 試験場は、佐世保海軍工廠(こうしょう)(同県佐世保市)などで製造した魚雷の性能を試すため1918年に開設。町は平和教育に生かそうと、2015年に都市公園として整備した。海辺を眺めていた若い女性は「(戦時中から)時が止まっているみたい」とつぶやいた。

 桟橋のそばには魚雷に空気を詰めるポンプ所の建物跡が残っていた。潮風にさらされ続けたのだろう。屋根は朽ち果て、壁は変色し、ぼろぼろになっていた。

 時代から取り残されたように海辺に立つ廃虚。朽ちゆく外壁と、建物を超えるほどに力強く茂る木々が、対照的に緩やかな時の流れを感じさせていた。

 =おわり

PR

PR

注目のテーマ