「自分らしさ」保つおはぎ店 パーキンソン病 久留米市の横山さん 震える体 奮い立たせ

西日本新聞 社会面

 震える右手でもち米を持ち、左手のあんこで包んでいく。福岡県久留米市篠山町でおはぎ店「まめ豆」を営む横山香さん(48)はパーキンソン病を患う。体の震えや運動障害が徐々に進行し、寝たきりになるケースも多い。開業を決意したのは病名を告げられた後で、「店を続けることが生きる原動力。おはぎ作りやお客さんとの会話が最高のリハビリです」。9月に2周年を迎える。

 小さい頃から、何もないところでつまずき、筆圧の弱さで字を書くのも苦手だった。強い異変を感じ始めたのは5年前。右手の震えが強くなり、右足は筋肉が引きつるような痛みがあった。翌年、パーキンソン病と診断された。

 「悪くなる一方という絶望感でいっぱいでした」。強まる手の震えと痛み。足もこわばり長時間の立ち仕事は難しい。症状は日によって違う。毎朝良くなっているかと期待するが、かなうことはなかった。

 だが、医師からは、初期症状では障害者手帳の交付条件が満たせず、障害者雇用の対象にならない可能性が指摘された。

 「右手をかばい左手でお箸を使うようになったら、右手は本当に何もできなくなった。何もしないと悪化するだけ。できるうちにできることを」と、開業を決意した。

 昔から好きだったお菓子作りが思い浮かび、作業がシンプルなおはぎに決めた。猛反対した夫(50)は何とか説得した。

 通勤は自転車。午前6時半から調理場に立ち、数十個のおはぎを仕上げる。「人を雇う余裕もないし、甘えてしまいそう」と従業員はいない。

 病院で2カ月に1度、震えや痛みを抑える薬をもらうが、頼りの左手も動かしづらくなった。それでも店に立ち続ける。「病の進行は止めることができない。でも、この店があるから自分らしくいられるんです」

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