台風10号通過 「計画運休」の検証を急げ

西日本新聞 オピニオン面

 台風10号がきのう、九州を強風域に巻き込み、四国、中国地方を通過して日本海に抜けた。

 お盆のUターンラッシュを直撃し、新幹線など主要な公共交通機関が運休するなどして市民生活に大きな影響が出た。終戦の日とも重なり、福岡県の戦没者追悼式が中止となった。

 10号は6日に発生し、太平洋上で一時停滞するなどして、のろのろと北上した。

 来るのか、来ないのか。新幹線などのチケットは手元にあるものの、繁忙期で予定変更は難しい状況だ。盆明けの仕事に気をもみながら、台風の進路を見守った人が多かったろう。

 こうした場合には、正常性バイアスと呼ばれる心理が働き、自分に都合の悪い情報を過小評価して「たぶん何とかなるだろう」などと思いがちだ。

 そんな状況を踏まえ、新たな広がりを見せたのが「計画運休」である。鉄道などの交通機関が、悪天候で運行への影響が予測される場合に、あらかじめ告知した上で運休することだ。

 JR九州は今回、12日の段階で、14日以降に大分、宮崎、鹿児島各県で運休する恐れがあることをホームページなどで公表した。他のJR各社も13日から同様の発表を行った。

 計画運休は2014年、JR西日本が初めて大規模に実施した。JR以外でも西日本鉄道などに広がりを見せている。

 昨年9月の台風接近時に首都圏で鉄道各社が踏み切った際は、発表が実施の8時間前だったため、知らずに帰宅できない人があふれて大混乱が生じた。

 これを教訓に、国土交通省はできるだけ早いタイミングで発表するなどの指針をまとめたが、各社ともなお手探り状態だ。台風の進路予測は、気象庁が今年から予報円の絞り込みで精度を向上させたが、いつ、どこへを正確に割り出すのは、いまだ難しい。近年、地球温暖化の影響とみられる急接近や迷走などが目立っていることもある。

 今回の計画運休による混乱回避効果はどの程度だったのか。発表のタイミングに改善の余地はないか。名称は「計画運休」より「予告運休」の方が一般に分かりやすくないか-。寄せられた利用者の声を重視しながら検証を急ぎたい。

 一方、10号の接近・通過に伴い、大分県玖珠町の渓谷近くで川が増水し、行楽のグループが一夜孤立した。強風で転倒するなどしてけがをした人も各地に少なからずいた。

 台風の年間発生数は平年値で25・6個だ。今シーズンは、なお十数個が生まれ、いくつかは接近・上陸すると考えておくべきだろう。その都度、教訓を導きながら、命を守りたい。

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