バングラ農村 30年支え 福岡のNPO 医療に力 24日に記念シンポ

西日本新聞 夕刊

「バングラデシュと手をつなぐ会」がカラムディ村に建てた中学校で生徒に囲まれる二ノ坂保喜さん(中央)=同会提供 拡大

「バングラデシュと手をつなぐ会」がカラムディ村に建てた中学校で生徒に囲まれる二ノ坂保喜さん(中央)=同会提供

募金してくれた子どもたちに、バングラデシュでの体験を話す二ノ坂保喜さん(左)=8日、福岡市城南区

 バングラデシュの農村で教育や保健医療の向上に取り組んできた福岡市のNPO法人「バングラデシュと手をつなぐ会」(約100人)が設立30年を迎えた。資金不足などの危機を乗り越え、現地の将来を担う人材が育ちつつある。地道に活動を支えてきた医師、二ノ坂保喜代表(68)=同市早良区=は「ただ人と向き合い、人とのつながりを育んできた日々だった。30年で現地も私たちも一緒に成長してきた」と振り返る。

 同会は1989年、福岡市の牧師大木松子さん(故人)がバングラ西部の農村カラムディ村出身の留学生と出会い、窮状を知らされたのを機に発足。最初は市内の女性グループが寄付金を募り、小学校を建てた。

 勤務医だった二ノ坂さんは92年、現地で活動していた同級生を訪問。「みんな生きることに必死だ」。村民の姿に引かれて活動に加わった。以来ほぼ毎年、現地に足を運び、2001年から代表を務めている。

 1995年には「安全に出産できる環境が欲しい」との声に応え、無医村に初の医療施設「母子健康センター」を完成させた。運営や管理は現地の非政府組織(NGO)に任せ、資金を援助。地域医療と衛生教育の拠点となった。

 ただ、支援の道はなだらかではなかった。村内の政治的対立に巻き込まれたり、現地NGOと村民、日本人スタッフと現地職員が衝突したりすることも。「信頼を得るにはまず相手を信頼しなければ」と時間をかけて関係を深めてきた。

 国内の景気悪化で資金が不足したこともあった。二ノ坂さんらは小さな会合やバザーで思いを伝え、協力を呼び掛けた。例えば、二ノ坂さんが診察で訪れる福岡市城南区の特別養護老人ホームでは、ホーム内のホールを借りている少林寺拳法教室の生徒たちがお小遣いから少しずつ寄付し、その額は5年で計25万円に達した。小さな善意が積み重なり、危機を乗り越えた。

 3年前に完成した看護学校にはようやく全学年がそろい、来春、1期生約40人が巣立つ。イスラム教徒が多い村では、女性は男性医師に肌を見せられず、受診を敬遠する人も多い。「女性看護師の育成が地域医療を変える」と挑んだ目標もかないつつある。

 在宅ホスピスの第一人者として終末期の患者に寄り添い、講演などで全国を飛び回る二ノ坂さん。バングラ支援は「善意ではなく、ライフワーク。一生懸命生きている人に引き付けられる」。診療の合間を縫って、農村の命にも変わらず寄り添っていく。

 会の30周年を記念して二ノ坂さんらが活動を振り返るシンポジウム「いのち・在宅・NGO」が24日午後1時から、福岡市早良区の西南学院大チャペルである。入場無料。定員300人。にのさかクリニック=092(872)1136。

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