2人目不妊 1人目は授かったのに、なぜ 悩む前に早めの受診を 加齢や働き盛りのストレス 「まだ?」つらいプレッシャー

西日本新聞 くらし面

 1人目の子どもは自然に妊娠、出産したのに、2人目をなかなか授からない「2人目不妊」に悩む人がいる。晩婚化を背景に、加齢による卵子や精子の老化といった生殖機能の低下に加え、働き盛りのストレスなどが性欲減退に影響しているという。専門医は「1人目を授かったんだから2人目も自然にできるはず」と思い込まず、早めに受診するよう呼び掛ける。

 福岡市の女性(52)は41歳で初めて出産。2人目をなかなか授からず、産婦人科を受診した。血液検査の結果、精子を外敵とみなし動きを妨げる抗精子抗体が陽性と判明。医師は「自然妊娠は難しい。(精子を卵子に直接注入する)顕微授精しかない」と説明。夫と話し合い、断念した。

 「結婚が遅かったから妊娠しづらいかも、と覚悟していたけど、1人目は自然にできた。てっきり2人目もできるものだと…」

 別の福岡県の女性(42)は33歳で1人目を出産。2人目は2回流産した。原因は分からなかった。娘に「きょうだいが欲しい」とねだられ胸が痛んだ。不妊治療がうまくいかず落ち込む友人を間近で見ていたため、「そこまではできない」と諦めたという。

 日本産科婦人科学会の不妊の定義は「普通に性生活を営む夫婦が、1年以上妊娠しないこと」。2人目以降も同様だ。共働きの子育て世帯を対象にしたサイト「日経DUAL」の17年のインターネット調査によると、不妊治療を経験した147人のうち約3割が「第2子で初めて治療をした」と回答。2人目不妊に悩む人は決して珍しくない。

 不妊治療専門の「IVF詠田クリニック」(福岡市中央区)でも、全患者の3割は2人目不妊で初めて来院した人という。初産の平均年齢は1975年の25・66歳から上がり続け、2017年には30・13歳(国立社会保障・人口問題研究所)。おのずと2人目の出産年齢も上がる。詠田由美院長(64)は、加齢で卵子が受精後も着床しにくい状態になったり、卵管や卵巣に異常が出たりすると指摘する。

 「誕生時に200万個あった卵子は徐々に減少し、老化する。それによって妊娠しにくくなる事実は避けられない」。ただ2人目不妊は、1人目を妊娠、出産しているため、原因はある程度絞られ、薬物療法や顕微授精など治療方針を決めやすいという。

 一方、男性に原因があることも。池田クリニック(熊本県合志市)の池田稔院長(62)によると、精子の数は35歳をピークに減少し動きも低下することが、近年の研究で判明。泌尿器科医として男性から「2人目ができない」と相談されることが増えている。「晩婚化で2人目を考えるときは既に40歳前後。勤め先での責任が増す頃で、ストレスによる性欲の減退もある。喫煙、睡眠不足、肥満などの生活の乱れも生殖機能の低下に影響する」

 精液検査で動きや数に異常があれば、生活の見直しやサプリメントの服用などで改善を図る。「子どもが5歳ぐらいになってから受診する人が多いが、2~3年で授からなかったら受診してほしい」と勧める。

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 2人目を望んでいても不妊治療をためらう背景には、治療費の高さや妊娠の不確実さに加え、仕事や子育てに追われ通院時間を確保しにくいこと、さらに、ほとんどのクリニックが子連れ通院を認めていないこともある。1人目の不妊治療中で「子どもの姿を見るのがつらい」という患者への配慮からだ。

 そこで福岡市中央区の古賀文敏ウイメンズクリニックでは、子連れで受診する人の優先時間帯を設けている。待合室や診察室を分けて、できるだけ顔を合わすことがないようにもしている。採卵や胚移植で時間がかかるときは、提携の託児施設が利用できる。

 不妊体験者らでつくるNPO法人「Fine」(東京)の生殖心理カウンセラー小倉智子さん(46)によると、「子どもが1人いる人は2人目もできて当然」という思い込みは周囲にもあり、「2人目まだ?」「きょうだいをつくってあげたら」と不用意に声を掛けられ、傷つく人は多い。不妊治療を始めると、1人も授からない人の姿に、「私はぜいたくなのか」と悩みが深まることもあるという。「2人目不妊ならではのつらさ、プレッシャーがあることを知ってほしい」と理解を求めている。

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