アワビ陸上養殖にICT 島原漁協、特産化を後押し 水温、塩分濃度自動測定

西日本新聞 長崎・佐世保版

水温などを自動測定するセンサー(黄色の部品)などICT導入で「これまでと安心感が違います」と話す高木将愛場長 拡大

水温などを自動測定するセンサー(黄色の部品)などICT導入で「これまでと安心感が違います」と話す高木将愛場長

 島原漁協(島原市)が特産化を目指すアワビの陸上養殖に情報通信技術(ICT)が導入された。稚貝の成長に影響する水温や塩分濃度の測定を自動化し、1時間ごと更新されるデータをスマートフォンで確認できるほか、異常時には警報を通知するなど省力化と危機管理を実現した。県内の陸上養殖でICTの導入は初めてという。 

 島原市役所農林水産課や同漁協によると、同漁協は普賢岳噴火で打撃を受けた沿岸漁業の立て直しの一環として2011年にアワビの陸上養殖を開始。2カ所の養殖場で計9万個を育てている。水温などの定期的な測定に人手がかかるため、同市が18年度事業でICT導入による効率的な養殖を支援。異常を知らせるシステムがない第2養殖場(同市洗切町)に、測定用センサーやデータ通信用の機器を設け、2月に稼働した。事業費は約600万円でほぼ全額補助される総務省の事業を活用した。

 第2養殖場は28基の水槽(約500リットル)で約2万個の稚貝を育成。ICT導入前は、飼育担当者が1基ずつ塩分濃度、水温、水中の酸素量などを測定し、半日を費やしていたが、導入で1時間ごとの測定が自動化。担当者は餌の管理や水槽の清掃などに専念し、夜間も測定データを遠隔地からでもスマホで確認でき、異常を検知すると警告音で通知できるようになった。

 第2養殖場は施設そばの有明海からくみ上げた新鮮な海水を水槽で利用。昨年7月には豪雨で塩分濃度が低下した海水を取り込んだため、稚貝が全滅した苦い経験がある。夜間の出来事で翌朝に気付いた関係者のショックは大きかった。導入後、異常警報はないが、養殖場の高木将愛(まさちか)場長(52)は「省力化はもちろん、不安だった夜も安心できるようになり、効果は大きい」と喜ぶ。

 今後、データを蓄積し、担当者が常駐する第1養殖場と同程度の生存率(80%)の達成を目指す。

 アワビ養殖の餌は外国産の海藻が一般的というが、同漁協は地元で養殖しているワカメとコンブだけで育てることで、歯ごたえがよく磯の香り豊かなアワビを生産。鮮やかな緑色の殻が特徴の「ジオアワビ」のブランド名で出荷している。

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