【小児がん 母と娘の闘病日記】(19)娘から 病気が人生を変えてくれた

西日本新聞 医療面

 小児がんを経験して成長した人と交流していると、さまざまな話を聞きます。「友達が離れていきそうで、なかなか病気のことが言えない」「就職試験で病気について話したら不採用だった」「晩期合併症(治療の影響で後に現れるさまざまな症状)が不安」…。

 小児がんはこの数十年の医療の進歩で、70~80%は治るようになりました。ただ、治療終了後何年もたって、放射線や薬物の影響による臓器異常や2次がん、不妊などが生じることもあります。経験者やその家族が抱える問題や不安は数え始めるときりがなく、私がまだ知らないこともたくさんあるはずです。

 こうした問題を解決するには、医療の進歩はもちろんですが、小児がんに対する社会全体の理解が何よりも大切だと思います。まだまだ社会の認知度が低いのが現状です。まずは皆さんが正しい知識を持ち、一人でも多くの人に広めてくれることが、経験者やその家族の未来を守ることにつながります。

 私は「病気が人生を変えてくれた」と思っています。命の大切さ、普通の生活が送れる幸せ、友達や仲間と過ごす時間の楽しさ。全て病気になって初めて学びました。家族や友達、医療スタッフや学校の先生など、たくさんの人が支えてくれたからこそ、こう思えるのです。病気をマイナスに捉えないように、いつも導いてくれました。

 今、大学で生命工学を勉強しています。学んだ技術を新しいがんの治療法開発に役立てられたら、と願っています。がんになった全ての子どもが苦しむことなく元気になって、胸を張って生きていける世界になってほしい。私の夢です。

 お母さん、私が病気になってからずっと大変な思いをしているはずなのに、やりたいことをやらせてくれて、いつでも相談に乗ってくれて、そして、そっと見守ってくれて、ありがとう。お母さんは私の宝物です。

 (山本芙優=北九州市立大3年)

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