昭和初期撮影の大食堂 旧グラバー住宅で写真発見 当時の生活ぶり伝える

西日本新聞 長崎・佐世保版

 長崎市南山手町のグラバー園で、1冊の古びたアルバムが見つかった。46枚の写真で目を引くのは、旧グラバー住宅の大食堂を昭和初期に撮影した1枚で、室内の写真は極めて珍しい。日本の近代化に尽くした英国商人トーマス・B・グラバー(1838~1911)の死後、息子の倉場富三郎(1870~1945)夫妻が暮らした時期の生活を今に伝える。 

 旧グラバー住宅は、グラバーが幕末の1863年、外国人居留地に建てた国内最古の木造洋風建築。倉場と妻ワカが1939(昭和14)年に三菱重工業長崎造船所に売却するまで過ごした。国重要文化財で世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産でもある。現在は約半世紀ぶりの保存修理工事の真っ最中だ。

 グラバー園によると、アルバムは昨年秋、園内の倉庫で発見された。写真一枚一枚に添えられたメモから31~35年ごろの撮影とみられ、風景写真が大半を占める。大食堂の写真は1枚のみで、メモに「昭和6年1月15日仕上」と書かれていた。

 扉の特徴的な配置や暖炉は今と変わらないが、これまでの展示のようなしっくいの壁ではなく、壁紙が張られていた。質素なテーブルと椅子も、華やかなパーティーをイメージして再現された展示とは異なる。「家族が集う場だったようだ」と松田恵学芸員は話す。

 壁に飾られた伊藤博文ら長州藩士5人の写真も興味深い。幕末に英国で学んだ彼らは「長州ファイブ」と呼ばれる。グラバーと伊藤は親しかったといわれ、外国人居留地に詳しい長崎総合科学大のブライアン・バークガフニ教授(歴史社会学)は「2人の関係を誇りに思う倉場が写真を飾ったのではないか」と想像を膨らませる。

 壁際のついたては、この写真の発見によって、大食堂の外に展示されていた来歴不明のついたてであることが判明した。昭和初期の内装と、グラバーが住んでいた頃の内装が大きく変わるとは考えにくい。古写真から得られた新たな知見は、今後の展示や内装を見直す上で参考になる。

 バークガフニ教授は「外国人居留地は町並みや建築学的特徴が注目されてきたが、ここで暮らした人々の生活や文化を知ることも大切だ」と語る。

   ◇   ◇

旧グラバー住宅保存活用考える 31日、長崎市でシンポ

 英国商人トーマス・グラバーの来日から今年で160年。長崎市の旧グラバー住宅の保存活用を考えるシンポジウムが31日午後2時から、長崎市立図書館(興善町)で開かれる。

 長崎総合科学大のブライアン・バークガフニ教授が「旧グラバー住宅の歴史」をテーマに講演。グラバー園保存活用検討委員会の委員が、史実を踏まえた保存や観光を視野に入れた活用法について意見を交わす。入場無料。定員120人、事前申し込みが必要。長崎市立図書館=095(829)4946。

長崎県の天気予報

PR

長崎 アクセスランキング

PR

注目のテーマ