杷木の子、古里へ手紙 豪雨被災の朝倉、地域放送で朗読

西日本新聞 社会面

 九州豪雨の被災地、福岡県朝倉市の地域放送局「杷木地域コミュニティ放送」で19日、地元の小中学生5人が古里への思いや将来の夢をつづった手紙を朗読する特別番組が始まった。災害を機に再認識した豊かな自然の魅力、そこに住む人々の温かさ…。推敲(すいこう)を重ね書き上げた手紙を手に、子どもたちはマイクに向かった。私たちの古里、杷木は絶対に負けない-。そんな思いを言葉に乗せて。

 杷木地域は、九州豪雨で関連死も含め住民26人が犠牲になり、今なお2人の行方が分かっていない。多くの家屋が被災し、同放送を聞ける受信機が家屋ごと流された世帯もあった。現在、加入1365世帯に朝・昼・夜の3回、行政や生活などの情報を届けている。

 今回、同放送スタッフの宿里新一さんと塚本千枝さんが「子どもたちに古里を誇りに思う気持ちを持ち続けてほしい」と特別番組を企画。井上愛未さん(12)=杷木小6年▽小松颯佳(さちか)さん(12)=同▽竹上陸さん(11)=同▽半田凌雅(りょうま)さん(14)=杷木中2年▽小野惺琉(せいる)さん(14)=同3年=の5人が募集に応じ、8日の収録に臨んだ。

 「たくさん優しくしてくれたのに、ありがとうも言えず、いなくなってしまいました」。半田さんは、豪雨で曽祖母とおばを亡くした。正月やお盆休みに曽祖母宅で一緒に食事をしたこと、近所の川で遊んだことを振り返り、「きっと雲の上から僕を見守ってくれていると思う。学校生活を一生懸命頑張って安心させたい」と一言一言をかみしめるように読み上げた。

 豪雨から2年。復興は道半ばだが、半田さんは「ボランティア活動などを通じ、自分ができることを少しずつやっていきたい」と締めくくった。

 一方、小松さんは豪雨を経験し、医師を目指すことを決めた。「たくさんの命を失って、改めて感じた命の尊さや人とのつながりの大切さ。一人でも多くの命を救い、私に元気と希望を与えてくれた朝倉の人たちに恩返しをしたい」

 つらいことがあっても諦めずに立ち向かい、困っている人がいれば優しく手を差し伸べる-。「朝倉の人たちの強く美しい心を誇りに思う」と語った。

 収録に立ち会ったスタッフの塚本さんは「子どもたちは地域の宝。大人になってもその気持ちを忘れないでほしい」と目を細めた。子どもたちの朗読は定時放送に添える形で、23日まで各日1人ずつ紹介。今後も子どもたちを募り、特別番組を作る予定という。

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