心を守る 体を守る 「透明バリアー」で自分を大切に 福岡の団体がアニメを作成

西日本新聞 こども面

動画では、ネコのアルハが「透明バリアー」の説明をしてくれる 拡大

動画では、ネコのアルハが「透明バリアー」の説明をしてくれる

透明バリアーにもいろいろある 頭ごなしに何か言われたときは「気持ちや考え方の透明バリアー」がピンチなのだという 性暴力被害者支援センター・ふくおかの「境界線・透明バリアー」特設サイトのQRコード アニメーションをチェックする性暴力被害者支援センター・ふくおかのスタッフ

 人と自分の間には見えない境界線があって、心や体が守られるべきものだということを「透明バリアー」にたとえて覚えてもらおうと、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」が子ども向けのアニメーション動画を作りました。全国でも珍しい取り組みで、6月からインターネットで見られるようになりました。 

【紙面PDF】「透明バリアー」で自分を大切に

 ●透明バリアーって?

 アニメーションでは、ネコのアルハが透明バリアーを福岡の方言で説明します。「相手と自分との間に、目に見えない境界線がある。境界線は『透明バリアー』。みんな持っとーと」

 たとえば、知らない人が目の前に顔を近づけてきたら嫌な気持ちになりませんか? これは、他の人が入ってはいけない「あなただけの空間」が破られているから。その空間の境目は子どもの安全に詳しい人たちの間では「境界線」と呼ばれています。自分の心や体を大切にする気持ちや意識、人と人との距離感のことなのですが、分かりにくいので透明バリアーにたとえました。バリアーが自分を包んでいるとイメージしてもらうのが狙いです。

 透明バリアーは空間だけでなく、持ち物▽時間▽からだ・性▽気持ち-とさまざまなものにあるのだそうです。破られたら「しんどいなあ」「嫌だなあ」と感じることが特徴。バリアーを知ると、破られたことに気付きやすくなり自分を守る行動が取れますね。

 ●バリアーが破られるときは?

 透明バリアーはどんなときに破られるのでしょうか。動画ではアルハがこう語ります。「自分と人との距離は自分で決めていい。でもそれが分からんく(分からなく)なるときがある」

 例えば、親や友達からたたかれたときや、電車で知らない人に体を触られたときは「体や性の透明バリアー」が破られています。親に「Aちゃんと仲良くしたらだめ、Bちゃんと遊びなさい」と言われたときは「心の透明バリアー」が、勝手に部屋に入って日記を見られたときは「空間や持ち物のバリアー」が破られているのだそうです。

 アニメーション動画を作ろうと最初に考えた、同センター相談員のコウさん(本名や年齢は秘密です)は「実は境界線、透明バリアーを知らない大人もいます。この動画がたくさんの人の考えるきっかけになってほしい」と話しています。

 動画は約4分30秒で、センターの特設サイト=QRコード画像=で見ることができます。

 ●透明バリアーが破られたら?

 透明バリアーが破られたら、どうしたらいいでしょうか。センターによると信頼できる大人に相談したり、身を守るため「塾があるから」などとうそをついて逃げたりするなど、いろんな方法があるそうです。しかし、誰に相談していいか分からない▽信じていた大人がバリアーを破った-ということもあるかも。そんなとき、子どもの話を聞いてくれるところを調べてみました。

 性暴力被害者支援センター・ふくおか=092(762)0799。性や身体のバリアーが破られた人の相談を聞いたり支えたりするところ。福岡県外の子どもの相談は、コウさんたち相談員がその子の住む地域のセンターにつないでくれます。

 児童相談所=189。虐待など子どもに関するいろんな相談に乗ってくれる県や市の組織。電話で189を押せば近くの児童相談所につないでくれます。

 チャイルドライン=(0120)997777。18歳までの子どもの話をきいてくれる電話。お金はかかりません。話したいことを何でも聞いてくれます。毎日午後4時~同9時。

■「透明バリアー」知る機会を 1年半かけ動画作る

 境界線、透明バリアーをアニメーションにしようとコウさんたちが思い付いたのには、理由がありました。もともと、同センターのスタッフたちは犯罪や虐待、いじめなどで子どもが傷つくのを防ぎたいと思っていました。

 そのために「『境界線』が破られたと気付けるようになってほしい」「自分を大切にする気持ちを持ってほしい」と思っていました。一方で「境界線、透明バリアーのことを教わるチャンスは少ないのではないか」と考えたそうです。そこで、アニメーション動画を作ることになったのです。

 動画は、心の不調などを抱えた親とその子どものための情報サイトを運営するNPO法人「ぷるすあるは」(さいたま市)と相談し、1年半かけて作りました。2018年3月に、その特設サイトが公開され、今年6月から動画が見られるようになりました。これからは同センターが学校で行う出張授業でも使われるそうです。

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