なぜ?日本郵便、顧客の不利益放置 アフラックは再三の改善要請 二重払いや無保険10万件

西日本新聞 社会面

 日本郵便が販売したアフラック生命保険のがん保険でも、保険料の二重払いや無保険状態といった顧客に不利益となる契約が新たに発覚した。乗り換え契約の制度上の不備が原因で、2018年5月からの約1年間で10万件超に上っていた。アフラック社は再三にわたって改善を求めていたといい、識者からは「なぜ制度の不備を放置したまま販売を続けたのか」と疑問の声が上がる。

 「がん保険における新規契約の取扱変更に伴う研修等について(10月改正)」。日本郵便は9日、日本郵政グループ労働組合に文書を出した。アフラック社が新商品を発売した18年4月以降、乗り換え契約が急増したため、条件付き解約制度を10月から導入することを通知する内容だった。

 営業担当の局員は「会社から通知されるまで制度の不備を知らなかった」と憤る。この局員は無保険状態にならないよう顧客に対して二重払いを勧めてきた。ただ保険料の負担を嫌がり、無保険を選ぶ顧客も少なくない。別の局員は「無保険期間中にがんと診断され、保障が受けられなくなったお客さんから苦情があった」と証言する。

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 日本郵便やアフラック社の内部資料によると、新規契約件数のうち乗り換え契約が占める割合は、17年8月は4%だったが、18年5月~7月は40%以上に急増する。

 かんぽ生命保険の不正販売で問題となった乗り換え契約は、同じ保障内容で月額保険料が上がるなど顧客が不利益となり、一部の局員が販売実績や手当金目当てで意図的に旧保険の解約時期をずらし、二重払いや無保険を発生させていた。

 一方、掛け捨て型のがん保険では、保障内容が充実した新商品への乗り換えは顧客にとってメリットがあり、業界では一般的に行われている。局員にとっても販売実績を稼げるため、顧客に対して積極的に乗り換えを勧めていた。

 現在、日本郵便はほとんどの保険商品の営業を自粛するが、アフラック社と協議した結果、同社のがん保険については「不適切な営業を生じさせにくい構造になっている」との理由で営業を継続。10月に新制度を導入するまで、乗り換え時に二重払いや無保険状態が発生する仕組みは残る。日本郵便は「お客さまに新制度の詳しい説明をした上で判断してもらうことにしている」と説明する。

 熊本学園大の坂本正シニア客員教授(金融制度論)は「顧客の不利益を解消するのは企業の社会的責任であり、放置していたのは言語道断だ。アフラックから指摘を受けても改善しなかったことには悪意すら感じる」と批判した。

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【ワードBOX】アフラックがん保険の委託販売

 日本郵政グループは2008年から300局の郵便局でアフラック生命保険のがん保険の委託販売を始め、15年からは全国約2万局に拡大した。国内での新規契約のうち、郵便局での販売が約4分の1を占めている。日本郵政は昨年12月、親会社のアフラック・インコーポレーテッド(米国)に2700億円規模の出資をすると発表。今後はグループ会社化して新商品の共同開発などに取り組む。

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