「オモテナシ」を世界に印象づけたのは、フリーアナウンサーの滝川クリステルさん…

西日本新聞 オピニオン面

 「オモテナシ」を世界に印象づけたのは、フリーアナウンサーの滝川クリステルさん。小泉進次郎衆院議員との結婚発表のニュースを見て、6年前の国際オリンピック委員会(IOC)総会を思い出した人は多かろう

▼2020年東京五輪招致のプレゼンターとして彼女は、日本には客人を大切にする文化が根付いているとアピールし、招致成功に一役買った

▼そのおもてなしを100年以上前の1912年五輪で実践したのがスウェーデンのストックホルム。ノンフィクション作家の佐山和夫さんが「金栗四三(かなくりしそう)~消えたオリンピック走者」(潮文庫)で詳述している

▼この五輪ではマラソンに臨んだ金栗が暑さで倒れた話が有名。だが、彼を助けた沿道のペトレ家には他の選手も次々になだれ込み、一家は彼らを分け隔てなく介抱したそうだ

▼親切で情に厚い人が多い土地柄。市民は海外からの客人を歓迎し、競技運営でも気配りに努めた。マラソンで死亡したポルトガル選手のために追悼音楽会を開き、募金を家族に送った。そんな五輪は「やさしさの大会」として感動を呼んだという

▼「東京が見習うべき点が多い」。現地取材を重ねた佐山さんはこうつづっている。酷暑の五輪。オモテナシが本物であることを示すには、入念な準備が必要だ。晩年までペトレ家と交流を続けた金栗も天国から見守っていよう。きのうは彼の生誕128周年の記念日だった。

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