「森友」再び不起訴 改めて国会で追及続けよ

西日本新聞 オピニオン面

 国有地が破格の値引きで売却されていた。しかも、財務省がその経緯に関する決裁文書を改ざんし、国会を欺こうとした。そんな重大な事案である。にもかかわらず、誰一人として刑事責任が問われないまま捜査が終結した。これでは納得できないという国民が大半ではないか。

 学校法人森友学園を巡る一連の問題で、有印公文書変造、背任などの疑いで刑事告発された財務省関係者らのことだ。

 大阪地検は当初、不起訴とした。大阪第1検察審査会が、改ざんに関しては佐川宣寿(のぶひさ)・元国税庁長官ら当時の同省理財局幹部ら6人、国有地売却では近畿財務局の幹部ら4人について「不起訴不当」と議決し、再捜査を求めていた。地検は先日、全員を再び不起訴処分とした。

 改ざんの事実はあっても「文書の趣旨自体は変わっていない」とし、値引きも「国に損害を与える意図まではなかった」として起訴を見送ったようだ。

 しかし、財務省が安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前や「特例的内容」といった文言を公文書から削除したのは全く不可解であり、改ざん文書を国会に示したのは言語道断の行為だ。ごみの撤去費とされる8億円余の値引きも算定根拠が適正だったのか、不透明な部分が多い。

 市民感覚からすれば、こうした問題を地検の判断だけで無罪放免とするのは釈然としない。多額の公金や公務員の不正が絡んだ事案である。一定の嫌疑があればむしろ起訴して公の法廷で白黒をつける、という姿勢があってこそ、検察に対する信頼が得られたのではないか。

 地検は「必要かつ十分な捜査をしたが、起訴するに足る証拠を得られなかった」と言う。ならば、その捜査の中身を丁寧に説明すべきだ。事件の性質からみれば本来、告発の有無にかかわらず検察自ら捜査に乗り出すべき事案だった。その姿勢は希薄だったと言わざるを得ない。

 一連の問題で関係者は停職や減給などの行政処分を受けているが、これで幕引きというわけにはいかない。佐川氏は昨年の国会での証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」として証言の大半を拒んだ。もはや訴追の恐れはない。国有地売却や公文書改ざんが誰の指示、判断で、どのように実行されたのか。国会は再び佐川氏らを証人喚問するなどして追及を続けるべきだ。

 仮に政治家の関与はなく政権への「忖(そん)度(たく)」で行われた事案だったとしても、それが横行する国政は不健全だ。霞が関が平然と不明朗な行政手続きを進め、国会をだましても、刑事責任は一切問われず、真相はうやむやにされる-。そんなあしき前例をつくってはならない。

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