障害者アートに光を 佐賀市の福祉法人 専門家と連携 展示会やグッズ化助言

西日本新聞 夕刊

色ペンを並べて色とりどりの丸を描く瀬戸口楓子さん 拡大

色ペンを並べて色とりどりの丸を描く瀬戸口楓子さん

瀬戸口さんがパステルで丸を描き続けて仕上げた作品 大型商業施設で開かれた展示会ではTシャツなどが展示、販売された(社会福祉法人はる提供) 大型商業施設での展示会で販売された瀬戸口楓子さんのマグカップ(右、社会福祉法人はる提供) アトリエ・サンクに飾られた障害者の作品を紹介する社会福祉法人はるの大石哲也さん

 佐賀市の社会福祉法人「はる」が、障害者の芸術文化活動を支援する取り組みを続けている。デザイナーや芸術関係者と連携して作品の展示機会を設け、グッズの制作や販売を助言。型にはまらない独創的なアート作品は社会的にも注目され、活躍の場が広がっている。

 色とりどりの長方形が幾つも重なったデザイン画や、温かみのある動物の絵が壁一面に飾られているのは、同市開成4丁目のアトリエ・サンク。はるが2015年10月に障害者が創作活動する場として開所した。

 絵筆やローラー、粘土を常備し、月1回の開放日には知的や精神の障害がある約10人が利用する。「美術の専門的な教育を受けずにストレートな表現力で創作した作品に魅力を感じる人が増えている」。アトリエ担当の大石哲也さん(51)はこう話す。

 はるは15年度から障害者の社会参加を促す狙いで、芸術文化活動の支援を始めた。大学教授や著作権に詳しい弁護士、デザイナーからアドバイスを受けながら、障害者やその家族に展示方法やグッズ化の知識を伝えている。

 同市在住で自閉症の瀬戸口楓子(ふうこ)さん(18)はアトリエ・サンクに通う一人。人とコミュニケーションを取るのが苦手で規則性にこだわりが強い。高校1年のころ、母庸子さん(47)から「暇つぶしに丸を描いてみたら」と提案されたのがきっかけで創作を始めた。

 絵は得意ではなかったが、丸はうれしそうに描いた。真っ白な紙に色ペンやパステルで幾つもの「丸」をびっしりと描いた作品はカラフルな幾何学模様に見える。

 「規則性が好きな楓ちゃんの性格に合っていた」と庸子さん。2人は、はるの支援を受けてデザイナーからグッズ制作の知識を学んだ。市内の大型商業施設で2月、障害者14人がデザインしたTシャツやバッグを展示販売するイベントがあり、楓子さんは丸の絵をあしらったマグカップを初出品した。

 購入者から会員制交流サイト(SNS)などを通じて「使ってみて良かった」「これからも頑張って」とメッセージが届き、これまでに約200個が売れた。

 「作品が売れてメッセージをもらい、社会とつながる。本人と家族の自信になる」。庸子さんは娘が創作活動で収入を得て将来的には自立してほしいと願う。「丸を描くだけの小さな積み重ねが、グッズ化という大きな成果になろうとしている。『うちの子はうまくいかない』と自信を持てずに悩む親たちにもノウハウを伝えたい」

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