熱いうちにアユの骨抜き

西日本新聞 くらし面

 猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。第3水曜は、さまざまな場面のマナーについて「インフィニ フィニッシング アカデミー」(福岡市)の副校長本多美智子さんにお助けいただきます。

 近年の猛暑は言語に絶するものがあります。連日の熱帯夜は当たり前。通勤電車やバスをはじめ、会社や家庭では冷房なしの生活は考えられません。

 ▼納涼と避暑の工夫

 冷房設備のない頃、日本では夏を過ごすためにどのような工夫があったのでしょうか。暑い夏を少しでも快適に過ごそうとした納涼や避暑の歴史は古く、例えば平安時代の貴族はぜいたくにも、寝殿造りの庭園に釣殿を設け、旬の新鮮なアユやウリなどを味わいながら涼んでいたようです。「源氏物語」にもその様子が描かれています。

 京都の公家や武家の屋敷、商家などでは、間口が狭く奥行きが長い「うなぎの寝床」と呼ばれる家屋が多く見られ、ひさしの長い屋根に吹き抜けの天井、よしずやすだれ、籐(とう)網代の敷物、通り庭や坪庭の空間の確保など、日よけや、風通しを良くする工夫が施されています。さらに打ち水で涼を呼びます。

 一方、農村地帯では夏の炎天下では仕事をせず、昼寝するのが常であったようです。何よりも夕立が涼を運んでくれました。「暑ければ汗はかくもの」と捉え、汗を行水でさっと流して浴衣に着替え、夜風に当たるのが一番のぜいたくだったようです。閉め切った空間で冷房を使う現在の生活とは根本的に発想が違いますね。日陰、うちわ、風鈴、薄着、昼寝、行水など、工夫しながら暮らしていた風景が浮かびます。

 ▼美しく味わいたい

 さて、アユといえば姿が美しく、素晴らしい香気を持つことから「香魚」とも表記されます。どのように料理しても香りが良いといわれますが、「焼いた香りに勝るものなし」とは多くの人が認めるところ。それほど塩焼きに適した魚ということなのでしょう。

 小ぶりのものであれば、熱々を頭からかぶりつくのがおいしいのですが、あらたまった席ではそうもいきません。かといって自己流で箸を入れて身をボロボロにしてしまっては、せっかくの焼きたての味が台無しです。アユ独特の骨の抜き方を、ここでぜひ覚えておきましょう。ポイントは「熱いうちに」です。

(1)尾を折って取り除く

(2)懐紙で頭を押さえ、えらの辺りに箸を入れ、骨を付けたまま、頭と胴部の身を離す

(3)頭を押さえたまま、頭から尾に向かって箸で身を軽く押さえる。次に背と腹を箸で挟むようにして軽く押さえ、骨と身を離れやすくする。手早く行うこと。

(4)箸で身を押さえ、頭を持ったまま左にそっと引いて中骨を抜く

(5)食べ終えたら箸で骨を小さく折り、皿の隅にまとめる。これはどの魚料理にも共通するマナーです。

 うまくできないときは、普通の焼き魚と同じようにいただいても構いません。身は箸で一口大に切り、たで酢に付けながら食べます。口の中に残った魚の骨は、つい指でつまんでしまいがちですが、箸を使いましょう。左手で口元を隠しながら箸先を口に入れて骨を取り出し、皿の隅に置きます。慌てず、さりげなく振る舞いましょう。

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