かんぽ不正、労組に危機感 熊本市で定期全国大会

西日本新聞 社会面

 単一労組として国内最大の日本郵政グループ労働組合(JP労組、組合員約24万人)の第12回定期全国大会が21日、熊本市内で始まった。JP労組の増田光儀委員長はかんぽ生命保険の不正販売問題について「事業の存続に関わる極めて重大な事態だ」と指摘。「金融営業のあり方について、抜本的な見直しに臨んでいきたい」と訴えた。

 大会は22日までの2日間の日程で行われ、本部や地方の代議員ら計約1400人が参加。21日は日本郵政の長門正貢社長やかんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長のほか、立憲民主党の枝野幸男代表らも出席した。

 日本郵政グループを代表してあいさつした長門社長は、不正販売問題を改めて陳謝し「お客さま第一の哲学を横に置いて営業目標やマネジメント姿勢、新契約の獲得に偏りすぎていた」と反省の弁を述べた。発言中、参加者から「しっかりやれよ」とやじが飛ぶ一幕もあった。

 現在、日本郵便とかんぽ生命は顧客対応を最優先させるため、保険販売の営業を自粛している。大会では、営業自粛で手当が目減りする社員の給与補填(ほてん)策などについて議論する。

■防げず組合員反省、批判も

 「労働組合として、十分なチェック機能を果たすことができなかったことは、しっかりと反省しなければならない」。21日、JP労組の増田光儀委員長は全国大会の冒頭、かんぽ生命保険の不正販売を防げなかったことについて反省の弁を述べた。

 地区の役員として組合活動に熱心に取り組んできた九州の局員は「組合が何もしなかったわけじゃない」と語る。幹部局員が保険の販売ノルマを達成するよう厳しく部下を指導して休職に追い込んだ際には、会社側を厳しく追及して処分させた。

 こうした現場での取り組みも「焼け石に水だった」。日本郵便は本業の郵便事業の採算が厳しく、約2万4千局のネットワークを維持するため、収益を保険や投資信託といった金融事業に依存している。そのしわ寄せが過剰なノルマとして現場に重くのし掛かる構造上の問題を抱えていた。

 「会社組織が複雑な上に大きすぎて、組合の活動だけで解決するのは困難だった」。局員は無力感をにじませた。

 JP労組は2015年度から営業担当者の給与を12%引き下げ、その分を営業手当に充てる会社側の提案を受け入れた。それ以降、ノルマ至上主義に拍車が掛かり、一部の局員が手当を稼ぐため無理な営業を繰り返すなど、一連の不正販売問題を引き起こす一因となった。

 現場からは、労組に批判的な声も上がる。

 関西の男性局員は、過剰な販売ノルマやそれに伴うパワハラ指導など現場が抱えるさまざまな問題を、ことあるごとに労組側に訴えてきたという。労使交渉で会社側の回答は「きちんと指導した」の一点張り。労組側もそれ以上の抗議はせず、その間にも不正が拡大していった。「組合は問題点を把握しながら、何一つ改善させられなかった」と切り捨てる。

 07年の民営化以降、最大の危機を迎える日本郵政グループ。大会に出席した別の局員は「不正販売のような問題を二度と起こさないためにも、組合員一人一人が会社に対して厳しい意見を言っていかないといけない。それが健全な経営につながっていく」と自らに言い聞かせるように語った。

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