子どものSOS見逃さない 「生きて」遺族悔恨の訴え

西日本新聞 一面

 夏休みが明けて学校が再開する新学期を前に、いじめなどに苦しむ子どもを救おうと各地で取り組みが始まった。親たちにSOSの受け止め方を伝えたり、つらい気持ちを抱えた子どもの居場所を用意したり。東京都内では21日、この時期に娘を亡くした遺族が「この世にいなくなっていい人はいない。生きているだけで価値がある」と訴えた。夏休み終盤。社会全体で子どもの命を守る大事な時期に入った。

 「もうすぐ娘の命日です。夏休みが明けた直後でした」

 21日、東京都内の都人権プラザ。いじめ自殺防止を呼び掛ける展示会の冒頭、トークイベントに登壇した青森県の葛西剛さん(41)は、次女りまさん=当時(13)=が命を絶った3年前のことを話し始めた。

 あの夏、中学2年のりまさんは友人と青森ねぶた祭やプールに出かけ、楽しそうに写真に納まった。姉と2人で海にも出掛け、学校の宿題にその風景を描いた。「いつもと何一つ変わらない夏休み」。父の目にはそう映った。

 休みが明けた日、習い事から帰宅したりまさんは「来週、海に遊びに行こう」と父に声を掛けた。しかしその翌日、いじめを苦にして自ら命を絶った。

 葛西さんは悔やむ。死の1週間前、りまさんが自宅でつぶやいた一言だ。

 「このまま夏休みが終わらなければいいのに」

 葛西さんは目に涙を浮かべて訴えた。「あの言葉がSOSだったのではないかと思うと、悔やんでも悔やみきれない。変化を注視して、子どもに温かい言葉を掛けてほしい」

 政府の自殺対策白書(2015年)によると、日付別にみた過去約40年間の18歳以下の自殺者数は9月1日が最多で131人。近年のピークは8月下旬との政府機関の調査結果もある。深刻な実態を踏まえ、つらければ学校に行かなくていいという考え方が少しずつ浸透しつつある。

 展示会には、いじめに苦しんだ11人の子どもの遺書や手紙などが、写真とともに並ぶ。いじめ自殺の遺族で展示会に協力したNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事は「学校と家庭の連携が大切。大人も対応の仕方を準備しなければ」と訴える。

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