知的障害者突き飛ばし死亡、親への賠償認めず 一定の理解と不満と

西日本新聞 大分・日田玖珠版

取材に応じる遺族側代理人の後藤尚三弁護士(左) 拡大

取材に応じる遺族側代理人の後藤尚三弁護士(左)

 知的障害がある男性=当時(42)=に突き飛ばされて亡くなったマンション管理人=当時(62)=の遺族が、男性の両親の監督義務を問うた大分地裁の訴訟は22日、親への賠償請求を認めず、遺族の訴えが退けられた。知的障害者に携わる人たちは判決に一定の理解を示す一方、犯罪被害者の支援団体は「遺族は怒りのやり場をどこへ持って行けばいいのか」と心情を訴えた。

 知的障害者の親らでつくる「大分県手をつなぐ育成会」の斉藤國芳理事長は、自らも知的障害の子どもを育ててきた。「知的障害者は突発的行動を起こすことがあり、ずっと監督して防ぐことは難しい」として、今回の判決には一定の理解を示した。

 ただ、自身の経験からは「親に法的責任が全くないとは思えない」と複雑な心境を吐露した。自らは「最低限の責任」として知的障害者向けの保険に入り、人や物に危害を加えた場合は補償できるようにしているという。

 知的障害者やその家族を支援するNPO法人「サポートひろがり」(川崎市)の山田由美子代表は、両親が行政や福祉に頼らずに面倒を見ていたことを挙げ「知的障害者は場面や状況の変化に繊細で、福祉の専門家でないと対処できないケースは多い」と指摘。「行政などにSOSを出し、福祉的なサポートを受けていれば結果は違った可能性もある。残念でならない」と語った。

 九州・沖縄犯罪被害者連絡会「みどりの風」の広瀬小百合会長は「刑事責任を問えず、民事で賠償も認められないとなれば、『自分の家族の命は何なんだ』となり、納得がいかないだろう」と遺族をおもんぱかった。自らも犯罪に巻き込まれて息子を失った広瀬会長は、刑事裁判の量刑などにも不満を漏らし「刑事でも民事でも、裁判は被害者に寄り添っていないと思うことが多い」と語った。 

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