「第9」久留米初演から100年 歌と歴史継承へ合唱団発足

西日本新聞 筑後版

ドイツ人捕虜による演奏会(久留米市教育委員会所蔵) 拡大

ドイツ人捕虜による演奏会(久留米市教育委員会所蔵)

木村清吾さんの指導で合唱する参加者

 ベートーベンの交響曲第9番が第1次大戦のドイツ人捕虜によって久留米市で初めて演奏され、今年で100周年を迎える。節目を記念して市民による「久留米第九を歌う会合唱団」が発足。久留米市役所2階くるみホールであった初練習は、市内外の約200人が歌声を響かせた。12月28日に久留米シティプラザ(同市六ツ門町)で記念演奏会を開く。

 1914年、久留米市の部隊を主力とする日本軍の独立第18師団は、中国・山東半島のドイツ軍拠点を攻略。久留米市には国内初のドイツ人捕虜収容所ができた。国内16カ所にあった収容所で最多の1319人が約5年半、久留米の地で過ごした。

 日本で初めて第9が演奏されたのは1918年、同じくドイツ人を収容した徳島県の板東俘虜(ふりょ)収容所だった。翌19年、国内初の日本人聴衆向けのドイツ人捕虜による演奏会が、久留米高等女学校(現明善高)で開かれた。

 ドイツ人捕虜の歴史に詳しい久留米市観光ボランティアガイドの会の草場武司会長(75)によると「当時の収容所長は『ドイツ人にとって音楽は、日本人にとっての漬物のようなもの』と例えて音楽活動に理解を示し、コンサートを許可した。収容所という暗いイメージとは違い、ドイツ人たちはスポーツや遠足といった余暇を楽しみ、地域と共生していた」と話す。

 第9を歌い継ぐ意義について歌う会事務局の樫村正生さん(73)は「第9には愛や平和への願いが込められている。戦時中であっても互いの文化を認め合った歴史を今の人にも感じてもらえれば」と話す。

 20日は発足式の後、ドイツ語の発音指導を受けソプラノ、アルト、テノール、バスの計4パート合同で練習。第9初挑戦のソプラノ平野佳奈さん(27)は「ドイツ語は発音が難しい上、高音も多く、不安もあるが、長年歌っている人とも交流しながら上達していきたい」と意気込む。会の発起人で、合唱の指導指揮者の木村清吾さん(80)は「演奏会は毎年開く予定で、歌とともに交流の歴史も歌い継いでいきたい。本番が楽しみ」と話した。

 本番まで計10回の練習を予定。総勢約240人を目指し、ソプラノを中心に現在も団員を募集している。

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