「家族同席」義務、順守61% かんぽ生命 規定悪用「不正の温床に」

西日本新聞 社会面

 かんぽ生命保険が70歳以上の顧客に保険営業する際に義務付ける家族の同席について、2017年度は同席率が61%にとどまっていたことが西日本新聞が入手した内部資料で判明した。顧客本人が拒んだときや、家族が遠方に住む場合は除外されるため、一概に不適切な営業とは言えないが、こうした例外規定の悪用例が内部で報告されていた。複数の郵便局員は「高齢者に対する不正販売の温床になっている」と指摘する。

 かんぽ生命は13年10月、70歳以上の顧客への訪問営業時に家族の同席を必須とする規定を導入。内部資料によると、同席率は15年度38%、16年度42%と半数に満たなかったが、高齢者からの苦情が相次いだため、17年7月には80歳以上の顧客への営業方法を厳格化。18年度は今年1月まで毎月70%前後で推移しており、一定の改善もみられる。

 局員向けの注意文書では、家族の同席を徹底するよう繰り返し呼び掛け、苦情として寄せられた不適切な事例を紹介。79歳の顧客に「しっかりされているので家族の同席は必要ありませんよね」と促したケースや、契約書に署名する段階にだけ家族を立ち会わせ「同席した」と処理したケースが挙げられていた。

 西日本新聞にも規定を悪用した事例が複数寄せられた。京都市の女性(81)は15、16年に3件の保険に加入したが、家族は一度も同席しなかった。同居する女性の長女(52)によると、かんぽ生命が作成した書類には「家族が遠方に住んでいる」と虚偽の内容が記されていた。女性は「家族に同席してほしいとは一度も言われなかった」と話し、長女は「同席していれば契約させなかった」と憤る。

 郵便局の窓口営業では17年まで家族の同席を必要としなかったため、抜け道として悪用されたケースも。関西の局員は「顧客に窓口に来てもらい、契約を結んだことがある」と打ち明ける。

 各地の郵便局では、営業実績を上げるため、定期的に顧客を集めた「ライフプラン相談会」を開催。社外秘の資料には、来店してもらうための電話での勧誘方法が詳しく記され「何か勧められると感じさせないように意識しましょう」「『電話じゃだめなの?』と聞かれたら『お渡ししたいものがございますので』と答えましょう」などと指南していた。

 複数の局員によると、相談会の表向きの趣旨は制度変更の説明としていたが、実際は「高齢者を呼び出して、家族の同席なしに契約を結ぶ狙いがあった」と証言する。

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