韓国が軍事情報協定破棄 日韓対立、安保に拡大

西日本新聞 一面

 【ソウル池田郷、塩入雄一郎】韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は22日、日本と軍事上の機密情報を共有する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたと発表した。韓国大統領府は日本の輸出規制強化が「安全保障上の協力環境に重大な変化を招いた」と理由を説明した。元徴用工問題や輸出規制強化を巡って深まった日韓の対立は安全保障分野に拡大。北朝鮮が短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返す中、米国を含む協力体制に悪影響が及ぶ事態も懸念される。

 韓国政府は24日までに日本政府に協定破棄を通告する。文政権は日本の輸出規制強化を元徴用工問題の報復と捉えており、協定破棄は事実上の対抗措置。北朝鮮や中国、ロシアをにらんだ北東アジアの安保情勢を踏まえ、日米韓3カ国の協力を重視する日本と米国は、韓国に協定の継続を求めていた。

 河野太郎外相は22日夜、韓国の南官杓(ナムグァンピョ)駐日大使を外務省に呼び、韓国側の決定に強く抗議した。

 大統領府の金有根(キムユグン)国家安保室第1次長は同日の記者会見で、日本政府が安全保障上の問題が発生したとして韓国を輸出管理で優遇する「ホワイト国(優遇対象国)」から除外することを決めたことについて「明確な根拠を提示していない」と批判。協定維持が「韓国の国益にそぐわないと判断した」と述べた。

 日本は協定に基づく情報交換の具体的状況を公表していないが、岩屋毅防衛相は22日、韓国の協定破棄決定に先立つ閣議後の記者会見で「4月以降、8回にわたる北朝鮮のミサイルや飛翔(ひしょう)体の発射があったが、この間も韓国側とGSOMIAを通じてさまざまな情報交換をしている」と協定の重要性を強調していた。

 自衛隊関係者によると、北朝鮮がミサイルや飛翔体を発射した際、日本は協定に基づき、日本の情報収集衛星やイージス艦のレーダーなどで観測した軌道や着弾の情報などを韓国に提供。一方、韓国は日本に、脱北者などから得た発射地点や発射の兆候をヒューミント(人的情報)として伝達しているとみられる。

 協定は2016年11月、韓国の朴槿恵(パククネ)前政権時代に締結され、1年ごとに更新。破棄する場合は更新の90日前までに書面で相手方に通告する必要があり、24日が期限となる。文政権は22日、関係閣僚らによる国家安全保障会議(NSC)を開き、協定破棄を決めた。

PR

PR

注目のテーマ