全国豆類経営改善共励会で最高賞 福智町の山口さん 大幅な収量増を実現

西日本新聞 筑豊版

 福智町の農業山口忠秋さん(67)が、全国農業協同組合中央会(JA全中)などが主催する「全国豆類経営改善共励会」の大豆家族経営の部で、最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。県飯塚農林事務所田川普及指導センターから教わった「部分浅耕(せんこう)一工程播種(はしゅ)」の技術を田川地区でいち早く採用し、大幅な収量増とコスト削減を実現したことが評価された。同センターには問い合わせが相次ぎ、担当者は「収量の良くなかった田川地区が変わるかもしれない」と期待する。

 山口さんは合併前の旧方城町出身。実家は代々続く農家で小学生の時から農作業を手伝っていた。名城大農学部卒業後、同町役場に就職。農業は定年退職してから本格的に始め、現在は4・6ヘクタールで大豆「フクユタカ」と、麦や米も育てる。

 山口さんによると、田川地区は、田畑の面積が狭いため効率的な作業が難しいほか、排水性も悪く収量がいいとはいえない。山口さんもこの問題に悩んでいたが、同センターの川村富輝さんによる「部分浅耕-」の研修会が転機となった。

 川村さんによると、大豆栽培では通常、種まき前に土を掘り起こしておく「荒起こし」を行う。大豆は梅雨時に種をまくと収量がよくなるが、荒起こしをすると土に水分が蓄えられるため、種まきが難しい。

 「部分浅耕-」は、トラクターに長い爪と短い爪を交互に装着して種をまく部分は浅く耕し、荒起こしの工程を省く技術。荒起こしが必要ないため、燃料と作業時間の削減につながるほか、梅雨でも種まきができる。畑を凹凸状に耕すため排水が良くなり、乾燥時は地下に蓄えられた水分が供給されることで多湿と乾燥のストレスを受けにくくなり、収量が増えるという。

 JA全中によると、山口さんの畑ではこの技術を導入した2018年、1千平方メートル当たりの収量は241キロで、県平均(156キロ)の1・5倍だった。作業時間は2・2時間で全国平均(17年、6・8時間)を大幅に下回った。

 トラクターや土の性質などに合わせて、耕す深さや種をまく位置を微調整しなければならないなど、高度な技術ともいえる。川村さんは「山口さんは、経験によって蓄えられた知識が豊富な上、助言にしっかり耳を傾けてくれたことで成功した」とたたえる。

 町農業委員会の会長を務める山口さんは、地域の農家の高齢化を懸念しており、「効率化が図れる『部分浅耕-』を広めていきたい」とした上で「若者が安心して農業に取り組めるよう、会社組織を立ち上げたい」と、次なる目標も掲げている。

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