米主導安保に暗雲 「協調軽視が影響」指摘も GSOMIA破棄

西日本新聞 総合面

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領の東アジア外交は、中国との貿易摩擦や北朝鮮の非核化問題で行き詰まり感が強まっている。そうした中での韓国による日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄決定は、米国を軸とする地域の安全保障体制を揺るがし、米国の影響力低下につながりかねない。トランプ政権は懸念を払拭(ふっしょく)するため日韓両国に話し合いを促し、日米韓の連携を維持したいところだが、展望は開けていない。

 「韓国の事務方の間では『継続が適切』との意見だったと聞いていたのに、文在寅(ムンジェイン)大統領ら韓国政府首脳がはねつけた」。米政府内では22日、GSOMIAを巡る韓国の決定について驚きと不満交じりの受け止めが広がった。

 ある米政府関係者は「文氏への批判が再び強まるだろう」と指摘。文氏はこれまで、北朝鮮非核化へ最大限の圧力をかけるよう主張するトランプ政権に対し、北朝鮮の求める制裁緩和に理解を示し日米韓の足並みを乱すなど、米側の不信を買った経緯があるからだ。

 一方、日本に対しても「トランプ氏と安倍晋三首相の関係が良いから『米国は日本に理解を示す』と過信して、韓国に強硬姿勢を示し続ける態度は取るべきではない」(日米外交筋)とくぎを刺す意見がある。

 米国としては日韓の対立緩和へ役割を果たすことで、中国や北朝鮮、ロシアに対する存在感を誇示する必要性が高まっているが、先行きは見通せない。米紙ニューヨーク・タイムズは識者の談話を引用し「米政権は(日米韓)3カ国協力の強固な土台を構築するのに必要な資源をつぎ込んでこなかった」と指摘。多国間協調を軽視するトランプ外交のつけが、今回の事態を招いたとの見方が広がる。

 トランプ氏は22日、日韓関係について一切発信しなかった。25日に予定される日米首脳会談ではGSOMIA問題に触れる可能性があるものの、政府内には「大統領が自分から話を切り出すことはないのではないか」との声も漏れる。

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