スクーターにイライラ

西日本新聞 夕刊

ワシントンに登場した電動ミニバイク「モペッド」。街なかにはシェア型の自転車やスクーター(写真奥)があふれている=18日 拡大

ワシントンに登場した電動ミニバイク「モペッド」。街なかにはシェア型の自転車やスクーター(写真奥)があふれている=18日

 ワシントンで車を運転していると、しばしば渋滞に巻き込まれる。ドライバーのマナーは良いとは言えず、後ろからよくクラクションを鳴らされ、いけないと思いつつ、つい鳴らし返すこともある。それに加えて最近、運転中のイライラを増幅させるものがある。路上や歩道を走るシェア型のスクーター(電動キックスケーター)だ。

 スマートフォンのアプリで自分がいる場所の近くにあるスクーターを見つけることができ、自由に利用できる。使い終われば歩道などの迷惑にならない場所に乗り捨てればオーケー。便利さが受けて、ここ1、2年で企業の参入が急増。ちょっとした移動の手段として住民や観光客に定着した感がある。

 ただ、電動で音も立てずにスーッと進んでくるので、車で交差点を曲がるときに接近に気付くのが遅れ、ヒヤッとさせられることが多い。利用者の信号無視は日常茶飯事だし、橋の歩道のど真ん中に乗り捨てる若者や、おもちゃ代わりに子どもに使わせる親もいる。困ったものだが、行政が規制強化に乗り出すという話は聞かない。

 自転車も含めた有料のシェア型「ミニ移動サービス」は街にあふれる一方だ。先週末には「モペッド」と呼ばれる電動ミニバイクがワシントンに登場。米紙ワシントン・ポストの地方版によると、行政が設定した4カ月間の試行事業に、ニューヨークで既にサービス展開している企業が手を挙げたという。試行が始まったばかりにもかかわらず、真新しいモペッドが走っているのを何度も見掛けた。乗り終えた若い女性に声を掛けると「快適」と満足そうだった。

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 ワシントンを走るバスや地下鉄は日本に比べれば遅延が目立つなど、使い勝手にやや難がある。その点、歩道の幅が日本より広く、自転車専用道も多いことを考えれば、スクーターのようなサービスが急速に普及するのは必然なのかもしれない。

 日本で新たなサービスを始めようとすると、行政によるルール作りなどにかなり時間を要するだろう。規制ありきではなく、試行しながら問題が生じれば修正を重ねていくような米国流のやり方は合理的に思える。普及に伴って車の利用が減れば、二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる利点もある。

 とはいえ、事故への不安はやはり付きまとう。つい数日前も自宅近くの交差点で車とスクーターが危うく衝突しそうになった場面に遭遇した。スクーターの男性は怒り狂い、車のドライバーを口汚い言葉で激しくののしっていた。こんな騒動に巻き込まれたら、ばからしい。イラッときてもクラクションを鳴らさず、こらえるしかないか…。 (田中伸幸)

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