韓国客減、長期化を懸念 「必ず解決」交流続ける団体も

西日本新聞 佐賀版

 日韓の関係悪化を受け、県内に宿泊する訪日外国人観光客の約半数を占める韓国人客が激減している。佐賀空港と韓国を結ぶ航空便が運航休止となり、一部の宿泊施設では7月の韓国人客が前年同月比で7割近く減少。関係改善の糸口が見えない中、影響の長期化を懸念する声が上がる。民間交流の分野でも子どもたちの訪問事業の中止が相次ぐ。ただ、関係者からは「こういう時こそ、草の根レベルの交流を大事にすべきだ」との指摘が出ている。

 「韓国人客向けに用意している部屋がキャンセル続きで埋まらず、国内客向けに割り振っている」

 武雄市のホテル従業員はため息をつく。両国の関係悪化が本格化した7月から韓国の宿泊客が減少。以前は市内で見られたトレッキング客もまばらだ。「韓国側の旅行代理店は訪日をはばかる客が増えて仕事が減り、社員に数カ月の休暇を取らせたところもあると聞く。韓国客がしばらく遠のくことを覚悟している」

 県内に宿泊した昨年の訪日外国人客約40万人のうち、韓国人観光客は半分の約20万人を占める。しかし関係悪化のあおりで、韓国の格安航空会社(LCC)は今月19日から、佐賀-韓国間で前年度の利用実績が14万5千人に上っていた週11往復の全便運休を決めた。

 県が一部宿泊施設からヒアリングしたところ、7月の韓国人客は前年同月比で6~7割減ったと回答したところもあった。団体客減が主な要因で「この先もいつまで続くのか見通せない」(県担当者)という。

   □    □

 唐津市と1982年に姉妹都市を結んでいる韓国・麗水市は今月上旬、10月に地元高校生が唐津商高を訪問して交流する予定を今回は取りやめると伝えてきた。相手国の母国語を学ぶ高校生が語学や文化を理解するため8年前から相互訪問しており、7月には同高の生徒14人が2泊3日で麗水市を訪れ、地元高校生と親睦を深めたばかりだった。

 交流の1カ月前から、両国の生徒は携帯電話のラインでやりとりして準備。同高の生徒が麗水市を離れる際はお互いに抱き合い涙を流して唐津での再会を誓っていた。引率した同高の木村貴子教諭(45)は「それぞれ子どもたちは10月に会うのが楽しみだったのに残念でならない」。

 唐津市の外町小でも9月中旬に雙鳳初等学校(麗水市)の児童を迎えて交流を行う予定が延期になったほか、県教育委員会と全羅南道が7~8月に予定していた中高生の英会話学習の交流事業が中止になった。

   □    □

 両国の対立は、韓国が日本との軍事情報包括保護協定の破棄を決め、さらに混迷を深めている。

 それでも毎年、韓国の大学生を佐賀に招き、環境問題などを話し合う活動を続ける佐賀市のNPO法人「地球市民の会」の岩永清邦事務局長(36)は「政治関係が悪くても、両国の個々人の顔が見える関係があればいずれ理解しあえる」と強調。今後も引き続き交流を続ける方針だ。

 唐津市の加唐島で生誕したとされる古代朝鮮の王「武寧王(ぶねいおう)」との縁で公州武寧王国際ネットワーク協議会(韓国・公州市)と交流を続ける「まつろ・百済武寧王国際ネットワーク協議会」は、来月に公州市で開かれる百済文化祭に参加する。県内の在日韓国人でつくる在日本大韓民国民団県地方本部も、毎年10月に佐賀市中心部で開く日韓の文化交流イベント「ふれあい交流マダン」を今年も実施し、韓国料理の屋台を出して打楽器演奏も披露する。

 朴弘正団長(63)は「生みの親は韓国、育ての親は日本と思っており、両国の対立は苦しい。しかし両国には長い間の交流がある。必ず解決できるはずだ」と話した。

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ