水俣病、山間部含む広域に 国・県資料で救済分布判明

西日本新聞 社会面

対象地域外の一時金対象者の分布 拡大

対象地域外の一時金対象者の分布

 水俣病被害者救済法に基づく未認定患者の救済策の対象地域外に住み、一時金210万円の支給を認められた約千人分の詳細な居住地が、国や県の集計した資料で判明した。水俣病の被害が山間部を含む不知火海沿岸の広範囲で起きていたことを改めて示している。被害者団体は「地域による線引きが妥当でないことを国と県が自ら認めたものだ」としている。

 救済法の対象地域は、水俣病認定患者の居住地などを基に、熊本、鹿児島両県がそれぞれ細かく指定。計6市3町にまたがり、1968年12月以前に原則1年以上の居住歴があることを救済の要件とした。対象地域の居住歴がない被害者には、メチル水銀で汚染された魚介類を多食したことを示す証明書などの提示を求めた。

 熊本県は2015年8月、一時金の支払い対象となった県内1万9306人のうち、対象地域外に住んでいた人は約16%の3076人と発表。市町別の内訳は示したが、合併前の旧町や大字など具体的な地名を明らかにしなかった。

 このため、救済から漏れた人たちが国と県、原因企業チッソに損害賠償を求めて熊本、大阪両地裁に起こしている集団訴訟で、原告側が各原告の居住地域を指定して詳細なデータを示すよう要求。被告側の国と県が5月、両地裁に資料を提出していた。

 資料によると、対象地域外で救済の対象となったのは、天草市では旧倉岳町で257人、旧新和町67人など。上天草市では旧姫戸町の114人だった。

 行商人によって水俣湾周辺で取れた魚介類が流通したとされる水俣、芦北地域の山間部の救済状況も明らかになり、芦北町では宮浦105人、黒岩96人、告(つげ)91人、吉尾85人。水俣市では越小場84人、久木野67人、古里48人。鹿児島県でも少なくとも133人が一時金の支給を認められていた。

 原告が入会している水俣病不知火患者会の元島市朗事務局長は「汚染された魚介類が山間部に流通していたことを、国と県が示した資料だ。地域の線引きがいかに非科学的か、具体的に明らかになった」と語った。

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