飲酒違反の4割が受診逃れ 福岡県撲滅条例 3児死亡事故きょう13年

西日本新聞 一面

 福岡市東区で幼子3人が犠牲となった飲酒運転事故から、25日で13年となる。事故後、福岡県は官民を挙げて飲酒運転撲滅に取り組むため、全国で初めて罰則付きの条例を作った。だが、条例が飲酒運転で摘発された者に義務付けているアルコール依存に関する受診や保健所指導には、4割が従っていない。条例の主眼はあくまで「医療などによる再犯防止」。飲酒運転の件数が高止まりする中、条例違反者に対し罰則を厳格適用することの効果も含め、行政の模索が続く。

 2012年に施行された福岡県の飲酒運転撲滅条例は、摘発された者に対し県の通知から60日以内に、(1)指定医療機関での有料診察(2)保健所や県庁での臨床心理士らによる無料指導-のいずれかを受け、報告することを定める。15年9月の改正で、受診などは「努力義務」から「義務」に強化された。5年以内に2度摘発され、受診義務を怠った場合は過料5万円の罰則対象となるが、改正後に科された者はゼロだ。

 同県によると、受診義務に従っていない者の数(累計)は、所在不明者などを除くと、17年が974人(対象者の48・7%)▽18年が1328人(同42%)▽19年が7月末時点で1549人(同40%)-と推移。はがきや電話、県職員の自宅訪問で受診を促しているが、対象者が飲酒運転が原因で失職して県外に転居していたり、指定医療機関や保健所に行くために仕事を休むことをためらったりして、受診率の大幅な改善には結びついていない。

 改正条例施行後、同県内で飲酒運転により2度摘発されたのは58人(今年7月末時点の累計)に上り、その多くは最初の摘発後に受診していなかった。受診へ導く効果を期待して罰則を設けているが、過料を支払うと受診義務そのものがなくなってしまうことから、条例本来の目的を達成できない懸念がある。同県幹部は「罰則を安易に科しても、飲酒運転をなくす根本的解決にはつながらない」とジレンマを語る。

 条例の実効性を高めようと、同県は昨年度から毎月6回、飲酒運転による免許取り消しの聴聞で県警本部を訪れた者向けに、すぐ隣の県庁で臨床心理士らによる飲酒指導の場を設けるようにした。現在19カ所の指定医療機関数を増やすことも検討している。

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