飲酒運転の撲滅 犯罪と改めて強く意識を

西日本新聞 オピニオン面

 飲酒運転は悪質な犯罪である。人の命を奪い、自らの一生も台無しにする恐れ大である。改めて社会全体で危機意識を強めたい。

 福岡市職員が幼いきょうだい3人を死亡させた飲酒運転事故から、きょうで13年となる。

 事故を教訓に全国で撲滅運動が展開され、一定の効果を上げてきた。にもかかわらず、率先して取り組む立場にある公務員の飲酒運転が後を絶たない。

 佐賀県嬉野市は今月、にわかには信じられない事案を発表した。男性職員が、長崎県平戸市から佐賀県唐津市まで約70キロを、缶ビール計4本を飲み干しながら運転したという。警察官に見つかり、捜査の結果、道交法違反容疑で書類送検された。

 昨夏には、福岡県職員の保健師が休日午後に記憶をなくすほど酒を飲んだ末に運転して逮捕され、懲戒免職となった。

 酒に絡んでは昨秋来、車の運転のほかに社会に衝撃を与えているのが、航空機のパイロットによる飲酒不祥事である。

 事態を受け、航空各社は飲酒禁止の時間帯について「乗務開始12時間前から」を「24時間前から」に広げるなど対策を強化した。それでも今月、またも出発前の検査で飲酒が発覚した。

 日本航空の副操縦士はフライト2時間前の昼食時、コップに入った日本酒を「水と間違って飲んだ」という。スターフライヤーの副操縦士は乗務前夜、約5時間半にわたりビールやワイン計2・8リットルを飲んだ。言語道断である。

 飲酒を巡る不始末に寛容だとされる社会風土こそ変えていかなければならない。まずは酒に関する正しい知識が必要だ。

 酒は一定の量を飲めば、一晩寝てもアルコール分は体内に残る。日本人の約4割はアルコールを分解する酵素の働きが弱いとのデータがある。

 さらに酒は眠りを浅くし睡眠の質を落とす。ストレス解消に役立つとは必ずしも言えない。

 「飲みだしたら止まらない」などという人はアルコール依存症を疑いたい。飲酒運転で摘発された者の約3割は依存症の疑いがあり、6割近くは再犯だ。依存症は酒を渇望する精神疾患だ。治療しなければ劇症肝炎などで絶命する恐れがある。

 全国の飲酒運転死亡事故は、昨年は200件弱で、3児死亡事故当時の3割まで減ったが、近年は減少幅が小さい。

 安価になったアルコール検知器も活用したい。自分はどれくらい飲めば翌朝どれほど残っているか、知ることができる。

 子どもたちの希望の灯を一瞬にして消し、親族を悲嘆のどん底に突き落とす-そんな愚行を一刻も早く根絶したい。

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