【動画あり】ちくご珍遺産(1)鳥居の先に残る闇市

西日本新聞 筑後版

 鳥居をくぐると昭和情緒あふれる世界が目の前に広がる。木製の柱で支えられたトタン屋根のアーケードの下に、所狭しと軒を連ねる古びた建物。半世紀以上続くスナックに飲食店、ここ数年で加わった雑貨店やパン店など、さまざまなジャンルの店舗が混在する。

 ここは八女市本町の土橋八幡宮境内にある「土橋市場」。神社境内にある商店街は全国的にも珍しく、「インスタ映え」を狙って、遠方から足を運ぶ来訪者も少なくない。「最近では昭和めいた雰囲気が『マンガの世界みたいだ』と言われます」。土橋市場組合の徳永邦弘組合長(74)は満足そうにうなずく。

 組合によると、同市場は戦後、大陸からの引き揚げ者が生活のために出店するのを後押ししようと神社境内が開放され、約70の露店が集まる闇市として始まった。「堅固な建物を造らない」という八幡宮側との取り決めがあったが、次第に建物は増え、50年ほど前には現在とほぼ同じ姿になったという。

 店の顔触れは時代とともに移り変わった。当初は生活用品や食料品を扱う店が多かったが、スーパーの普及などで次第に減少。代わりに飲食店が増え、昭和40~50年代にはスナックが立ち並ぶ夜の歓楽街となって「不夜城」と称された。

 平成に入ると景気低迷と店主の高齢化が重なり、一時は活気が薄れたものの、2010年ごろからは、独特の雰囲気を聞きつけた都市部の若者らが次々と店を出すようになった。現在では店の経営者の半数が30~40代だ。

 レトロなたたずまいを残しながら、変化を続けてきた同市場。徳永さんは「この不思議な空間が、令和になってどんなふうに変わっていくやろうか」と楽しみにしている。 

   ◇   ◇

 筑後地区には素晴らしい景観や歴史的な建造物がたくさんある。中には大牟田市の三池炭鉱関連施設のように、世界文化遺産に登録されたものも。今回はそこまで貴重ではなくとも、地域の息づかいや庶民生活をほうふつとさせる、ちょっと変わった光景、遺物を動画を交えて紹介する。令和の時代にも歴史の語り部となってくれることを願って-。

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