一支国博物館の裏側、月1回ツアー 遺物の保存技術に感嘆

西日本新聞 長崎・佐世保版

 壱岐市の一支国(いきこく)博物館は毎月1回、普段は入ることができない遺物の保存処置室や収蔵庫を見学する「バックヤードツアー」を実施している。国の特別史跡に指定されている弥生時代の環濠(かんごう)集落跡「原(はる)の辻遺跡」の遺物が展示されるまでの過程を知ることができる。夏休み中の家族連れと一緒に参加した。 

 17日の参加者は21人。県埋蔵文化財センターの寺田正剛さんが案内した。最初に向かったのは出土品整理室。出土した土器や陶磁器の破片が多数ある。破片は洗った後、元の形が分かるように接合し、図面への記録などを行う。

 「パズルのように組み合わせてみるが、大部分は合わない。形になったものだけが展示される」と寺田さんは説明した。

 木製品保存処理室に入ると「ブーン」と大きな機械音が響いていた。真空凍結乾燥機は木製の出土品に含まれる水分を凍らせ、真空状態にして氷を水蒸気に昇華させる仕組みで、出土品の原形を変えずに乾燥させることができる。処理されたサンプルの木片を手にした子どもたちは「こんなに軽いの」と目を丸くした。

 順路の壁には、壱岐市にある弥生時代の環濠集落跡「カラカミ遺跡」の土層断面をはぎ取った資料が展示されていた。「これは本物ですか」。参加者は埋まっている遺物に興味津々の様子だった。

 ツアーは中盤。金属製品保存処理室では、さびてしまって何か分からない遺物に対面。金属にエックス線を当てて形を特定し、さびた部分を小型の機器で削り落とす。壊れやすいので、少しずつ削るそうだ。

 精密分析室には、顕微鏡やエックス線撮影装置、3次元計測器、3Dプリンターなどの機材がそろう。

 3Dプリンターで作った人面石があった。本物の人面石は原の辻遺跡から出土した人の顔のように見える石で、国の重要文化財のため触ることができない。子どもたちは、3Dプリンターで作った実物と同じ大きさ(縦10・2センチ、横7・4センチ)の人面石に触れ、形などを確かめていた。

 最後は収蔵庫。県内のあちこちの遺跡で発掘された出土品が管理されている。寺田さんが復元された縄文時代の弓矢を手に取り、先端のやじりに使っている黒曜石を見せると、子どもたちは「きれい」と目を輝かせた。

 ツアーは約40分で終了。大村市から家族5人で参加した小学6年の岩崎彩芭さん(11)は「博物館の裏側は面白かった。小さな土器の破片を一枚一枚パズルのように合わせていくのは大変そう」と驚いていた。

 ツアーは第3土曜の午後1時15分から。参加無料。

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