久山町の交流型シェアオフィス開業半年 「マルシェ」10月実施へ

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 久山町猪野の空き家を改修した地域交流型シェアオフィス「そらや」の開業からまもなく半年を迎える。町が改修し、住宅ではなく、企業などの事務所として入居させ、農村部の活性化を目指した施設だ。10月からは利用者と地域内外の人との交流イベントとしてマルシェを計画、実験的事業が少しずつ前に進み始めている。

 人口減少社会の中で、全国的な課題となっている空き家対策。久山町は、福岡市のベッドタウンとして開発が進む一方、交通の不便な農村部では空き家が増加傾向にあった。2015年時点で、100以上発生。そこで、貸したい人と借りたい人を仲介する「空き家バンク」をつくったが、行政の思惑通りに取引は増えなかった。

 町などによると、背景として、農村部では新住民への警戒感もあり、貸すことそのものへの抵抗感が強いケースがあったという。

 発想を変え、町は日中だけの使用となる企業や個人業者の入居を目指した。空き家を「あきや」から「そらや」と読み替え、広がる青空のようなイメージを加えた。地域活性化の拠点とし、やがては雇用にも結び付けていくことを目指した。

 そらやは今年4月にオープン。延べ床面積約180平方メートルの2階建ての空き家を約800万円かけて改修。事務所(8ブース)、台所、共用スペースなどを整備した。ものづくりに対応できる作業場もある。台所や共用スペースは地域の人たちも利用できるのが特徴という。

 オフィス利用料は1カ月あたり1ブース2万円(共益費、駐車場1台分込み)。町は低く設定する一方で、地域振興への理解があることを入居の条件に加え、面接もした。

 現在の入居者は都市計画コンサルティング会社やエンブレム製作の職人、料理研究家ら4事業者。

 このうち九州電力(福岡市)は、新規事業開発を担当する「テクニカルソリューション統括本部技術戦略グループ」の担当者がデスクを構える。同グループの稲葉太郎課長は「地域の中で人とつながり、ニーズを探り、新規事業につなげたい」と狙いを語る。

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 地域振興に向けたそらやの事業第1弾として、10月から予定しているのが「そらいろマルシェ」だ。福岡市の料理研究家、青柳裕子さんと入居者を中心に毎月第2土曜に開催、まずは地元産の野菜販売と料理教室を中心に展開し、農村部へ地域内外から人を呼び込む。

 青柳さんは入居者ではないが、町内に本社がある食品メーカー「久原本家」で料理開発課顧問を務めており、そらやの運営に協力することになった。「『久山っていいところ』と知ってもらうきっかけになれば」と意気込む。

 地元農家の城戸勇也さんもマルシェの協力者の一人。来場者に自分で手掛けた野菜を使ったピザを振る舞うほか、子どもたちにピザの作り方も教える予定だ。「地元の人が、自分の住む地域の魅力を再認識できる場にしたい」と考える。

 町魅力づくり推進課の西村勝課長補佐は「単なる都市化や人口増を追うのではなく、地域再生も含めた息の長い取り組みにしたい」と将来を見据えている。

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