性の多様性広がる授業 いじめの恐れ、LGBTの悩み…

西日本新聞 社会面

性の多様性について、子どもたちにどのように教えるかを話し合う香春小の教員たち=5日午後、福岡県香春町 拡大

性の多様性について、子どもたちにどのように教えるかを話し合う香春小の教員たち=5日午後、福岡県香春町

 九州の小中学校で、性的少数者(LGBT)など「性の多様性」を授業で取り上げる動きが広がっている。「男らしくない」「女らしくない」を理由にしたいじめの恐れや、幼少期から自身の性に違和感がある子がいることなどが背景にある。本年度から中学校の道徳、来春から小学校の保健の教科書に「性の多様性」が初めて記載される中、正しい知識を学び、偏見のない世の中で子どもたちに育ってもらおうと、教職員らが模索を続けている。

 「『男の子だから、女の子だから』を逆にしてみよう」「最初は『えーっ』ってなるけど、『女子で体育が好きな子はいないの?』と投げ掛けたら、『男だから、女だから』っておかしいかもと気付いていく」

 今月上旬、福岡県香春町の香春小で6年生の担任と人権教育担当、養護教諭が新学期に行う「性の多様性」授業の準備を進めていた。

 2016年、LGBT当事者の子どもを支援する関係者が町内で講演したことを機に授業が始まり、翌年から町内全4小学校の年間授業計画に「性の多様性」が入った。香春小6年の担任、宮島啓人教諭は3年前、別の学校で授業をしたが、言葉の意味を説明するだけで精いっぱいだった。「前回は教える一方だった。今回は子どもたちに考えさせたい」と意気込む。

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 九州各県・政令市の教育委員会などによると、授業で「性の多様性」を扱った学校の割合は、14年度と18年度を比べると、福岡市=小学校12・6%→100%、中学校7・2%→60・9%▽熊本県=小学校6・0%→18・8%、中学校4・2%→28・9%▽宮崎県=小学校2・9%→21・4%、中学校4・4%→28・7%-と増えた。大分県、鹿児島県、熊本市も増加傾向にあった。

 この数字は「授業等で取り組んだ(取り組む予定の)人権課題」に関するアンケートで「性的少数者」「性の多様性」などを選んだ学校の割合。授業に割いた時間や内容は調べていない。福岡、佐賀両県と北九州市は比較できる過去の数字がなく、長崎県は調査していなかった。

 福岡市は人権教材で性の多様性を扱い、17年度から小学校で必修とするなど、積極的に取り入れる自治体もある。埼玉大の渡辺大輔准教授(教育学)は「LGBTに関する情報が氾濫し、多様性を肯定的に捉える子もいれば『笑ってもいい』と認識している子もいる」と教育の重要性を指摘。性の多様性教育に取り組む認定NPO法人「ReBit(リビット)」の小川奈津己教育事業部マネジャーは「LGBT当事者から話を聞くことも大切だが、児童生徒と日常的に関わっている先生が多様な性を教え、違いを認め合う土壌づくりを継続的に行っていくのが理想」と話している。

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