カノエラナ、深化感じさせるシングル第2弾 行き場のない感情歌う「セミ」 「刺さる人に刺されば…」

西日本新聞 夕刊

 佐賀県唐津市出身のシンガー・ソングライター、カノエラナが2枚目のシングル「セミ」をリリースした。2016年のメジャーデビュー以来、ミニ3枚フル1枚とアルバム制作を続けてきたが、今年になってシングルを出すことに力を入れるようになった。ツイッター活用での曲作りという手法で注目されたアーティストは、詞に込めた思いを曲数を絞ることでより深化させていた。

 「じっくり曲作りをすることができました」。3~4曲入りのCDシングルも珍しくない中、2曲という“少数精鋭”の楽曲入り音盤の制作をカノエは振り返る。デビュー後まっすぐ走り続けてきたカノエだったが、昨年ライブ会場限定のミニアルバム的なCD「ぼっち2」を出した後、ゆっくり曲と向き合おうと方向性を変えた。そして、今年3月に「ダンストゥダンス」、8月に「セミ」と半年の間に2枚を出した。「今まで曲の土台みたいなものはやってなかったので、それができた」と言う。

 ツイッター活用のスタイルも少し変化した。ライブやラジオ出演が増え自身が動画をアップするペースが遅くなったこともあるが、若者のツイッター離れも影響している。「今はそういうのを考えず、とりあえず自分の作品の濃さを上げていくようにしている」。ライブの観客が掛けてくれた言葉やラジオのリスナーの投稿が創作の大きな手助けにもなっている。

 今回のタイトル曲「セミ」は2年ほど前から持っていた曲。静かに始まり徐々に感情が高ぶるように盛り上がるメロディーに丁寧に言葉をのせ、壁にぶつかった時の気持ちなどを分かりやすく表現しようとした。「夏という単語を聞くと中学のころ実際に体験したことを思い出し、胸がグーッと痛くなる。そのシーンを切り取った」。中学2年の夏、死んだセミを2、3時間見つめ続けた時、カノエの中に去来したさまざまな思いが詞となった。〈必要だと言われたい〉。「セミ」のワンフレーズだ。「いらない」と言われたことが実際にあった。もやもやとした持って行き場のない感情を作品に落とし込んだ。

 中学、高校時代を「黒歴史」と自ら呼ぶ。「頑張れ」と言われるのがつらかった。そのカノエが気を使ったのは「『大丈夫だよ』とかいう言葉はなるべく使わないように、少しだけ光を見せる」ということ。〈誰かが僕の鳴く声聞いて見つけ出してくれる筈(はず)さ〉。ラスト近くに出てくる小さな光だ。

 ライブは男女の関係なく幅広い観客が集まる。「刺さる人に刺さればいい」。今年24歳。カノエラナは、これからも1曲1曲にじっくりと向き合い、人々の心をとらえる歌を送り出していくだろう。

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