【きょうのテーマ】海の生き物 研究の現場 九州大水産実験所を訪ねる 水の環境から遺伝子まで 人も生き物も幸せに

西日本新聞 こども面

ウニをはさみで解剖するこども記者たち 拡大

ウニをはさみで解剖するこども記者たち

どのように実験をしているのか栗田助教が見せてくれた 実験所は、海の生き物を研究するのに恵まれた立地 飼育棟では、ウニやサメ、フグ、ナマコなどたくさんの生き物が育てられている 中央にある口でクローバーを食べているウニ 栗田喜久助教

 海や川の生き物の研究は、どんなふうに行われていて、どんなことに役立つんだろう。福岡県福津市の九州大水産実験所を第9期のこども記者が取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=海の生き物 研究の現場

 実験所は、玄界灘の見える静かな場所にあった。周りには入江や砂浜、岩場などがあって、それぞれ違う生き物がすんでいる。「研究する人にとっては立地がいい」と、同実験所でウニや貝の発生や成長などを研究している栗田喜久助教(35)が教えてくれた。

 建物の中には、高性能な電子顕微鏡や遺伝子の実験をする機械など、研究用の設備がそろっている。マイナス80度の冷凍庫は一般家庭の冷凍庫より何倍も寒いので、人間が入ったら一瞬で凍ってしまいそうだなと思った。

 九州大の教授、准教授、助教の教員3人と学生がいるほか、国内外の研究者が訪れ、周辺で捕まえた生き物を研究したり、研究材料として持ち帰ったりする。

    ◇  ◇

 研究のために、ナマコ、サメ、ウニ、フグ、イワシなど約30種類の生き物が育てられている。一番大きな20トン水槽では、大きいもので体長1・5メートルもあるサメのえさやりを体験させてもらった。自分たちで準備した魚の切り身を水槽に投げ入れると、えさが浮いている時は食べなかったけど、下に沈むと食べてくれた。

 海の生き物がたくさんいる水族館との違いは「見せる」必要がないこと。水槽が汚れていても、その魚がすみやすい環境ならいいのだそうだ。確かに水族館みたいな透明なガラスの水槽ではなかったが、サメは幸せそうに泳いでいた。

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 栗田助教が今研究しているのはウニを育てる技術。すしでも人気のウニは春夏に生える海藻を食べるが、一年を通して陸に生えているクローバーを食べさせてみたところ、おいしいウニが育つことが分かったそうだ。この研究がウニの養殖に生かされれば、一年中おいしい国産のウニが食べられるようになり、海でウニが海藻を食べ尽くす環境問題も解決できるという。

 実験所では、そのクローバーをえさにして育ったムラサキウニの解剖をした。ウニの口にはさみを入れて切ると、手で割れた。ウニの殻は意外ともろく、とげも簡単に折れた。中にあった口の器官は白いちょうちんのようで、歯は桜の花のような形をしていた。取り出した身を指ですくい、蛇口から出る海水で洗って食べると、塩気と甘さがマッチしていておいしかった。

 ●いま ウニが面白い 栗田喜久助教に聞く

 九州大水産実験所では、水の環境から生物の遺伝子まで研究していた。その大切さや楽しさを、栗田喜久助教にインタビューした。

 -研究はどんなことに生かされているのですか?

 例えば橋を造るとき、川にどんな生き物がいるか、工事がどう影響するかなどが研究で分かると、人も生き物も幸せになる橋の造り方を考えることができます。生き物がどう生まれ育つかを研究すると、養殖がうまくいくようになります。

 -最近面白いと思った生き物はいますか?

 海岸へ大移動するウニ。言葉を話せないのに、合図したように集団で深い海から何キロも移動するんです。その仕組みを解明したい。

 -これからの目標は。

 明治から大正にかけて活躍した渡瀬庄三郎先生が目標。生物の分布図を作ったり光る生き物を研究したり、一つのテーマに絞らず面白いと思ったことをたくさん研究した動物学者です。

 -研究者を目指す人にアドバイスをください。

 研究はうまくいかないこともたくさんあります。それでも楽しいと思える人に研究者の仕事をすすめたい。僕もわくわくする研究をしていきたいですね。

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