原爆展後援 拒否は妥当 佐世保市長「署名好ましくない」

西日本新聞 長崎・佐世保版

記者会見で核抑止力の必要性を語る朝長則男市長 拡大

記者会見で核抑止力の必要性を語る朝長則男市長

 佐世保市の朝長則男市長は27日の記者会見で、市教育委員会が原爆写真展の後援を断ったことについて「写真展の開催自体は問題ない。(会場での)署名活動を後援することが好ましくない」と述べ、判断を肯定した。主催者が呼び掛けた核兵器の完全廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」に応じる考えがないことも明らかにした。

 原爆写真展は原水爆禁止佐世保協議会が市中心部の島瀬公園で2017年から毎年続けており、今年は8月4日に開催。公園の一帯で、被爆者や自治体の首長らが呼び掛けているヒバクシャ国際署名を市民に求めた。市教委は後援申請に対し、署名活動が「政治的中立を保てない」として却下していた。

 市長会見に同席した市社会教育課の小田寛司課長は「署名するかどうかは来場者に判断してもらいたい。市教委の後援のあるなしで影響されてはいけない」と断った理由を説明した。却下は教育委員会の判断であり「市の考えが反映された認識はない」と述べた。

 県内の自治体では佐世保市だけがヒバクシャ国際署名に応じていないが、朝長市長は「署名するつもりはない」と明言した。原爆展の主催者が17年に佐世保市に後援を求めた際、市長は「本市の方針に合致しない」と断っている。

 朝長市長は核兵器廃絶について「理想は全くその通りだと思う」としながらも「国はそこまで踏み込んでいない。国の立場を基本的に尊重していく」「現実は核の傘に入って、抑止力を行わないといけない」と発言。核兵器禁止条約に賛成していない日本政府に歩調を合わせた。

 佐世保市は、核兵器廃絶を求める国内外の都市でつくる「平和首長会議」(会長・松井一実広島市長)に九州で唯一参加していない。理由を問われると「核抑止力は避け得ないもの」と強調した。

 佐世保市によると3月31日現在で、831人の市民が被爆者健康手帳を持っている。

 

 民意に沿った判断を

 服部孝章立教大名誉教授(メディア法)の話 署名は会場に来た人の判断に委ねられるので、強制力はない。佐世保市教委は「政治的中立」という言葉を使い、内容を精査する判断を放棄した。市長が「政府の方針に同調する」という理由でヒバクシャ国際署名に応じないことも、自治体の判断力が問われる問題発言だ。市の歴史や民意に寄り添って判断すべきだ。

 

 「政治的中立」は妥当

 八木秀次麗沢大教授(憲法学)の話 教育行政をつかさどる市教委が、名義後援を引き受けるかどうかで、政治的中立を求めるのは妥当だ。後援すれば行政のお墨付きを与えることになる。特定の考えを支持すべきではない。判断の明確な基準を市民に示すことは必要だ。核兵器廃絶は国際情勢に照らし合わせて、リアリズムの立場から考えるべきだ。

長崎県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ