【動画あり】ちくご珍遺産(3)地域結んだ友情の証し

 京都・北野天満宮の神領として平安時代に創建され、かつては広さ千町歩(約千ヘクタール)もあったという北野天満宮(久留米市北野町中)。由緒ある拝殿の両脇に、何ともユーモラスな石像が鎮座する。台座を含めた高さは大人の身長より高いくらい。なだらかな流線形の体に、三角形の赤いくちばし。すまし顔が愛らしい、金と銀のウソ像だ。

 「よくあるこま犬とは違うから『これは何か』と聞かれます」と、父の代から宮司を務める高松良三さん(71)は語る。

 ウソという鳥は菅原道真を祭る天満宮では守り神とされている。毎年2月25日は「うそをつかず、誠の人の道真公にあやかろう」と、参拝客が互いに持った「木うそ」人形を取り換える「うそかえ神事」が開かれている。高松さんによると、「像は昔からあり、灰色だった。でも約50年前に塗装屋さんが『きれいにしましょう』と金と銀に塗ってくれた」と語る。

 ではこのウソ像、いつ、なぜ建てられたのか。台座に刻まれた「寄進」の文字や人名、字名などから「誰かがお伊勢参りにでも行った後、記念に奉納したのかもしれない」と高松さんは推測する。

 その説を裏付けるように、小郡市埋蔵文化財調査センター所長の片岡宏二さん(63)が「明治四拾四年」「北野町同行」の文字も読み取って説明してくれた。「『同行(どうぎょう)』は小郡の集落でも行われていた慣習です」

 集落ごとに、年齢差約10歳のグループを組み、伊勢神宮や英彦山などへ参拝の旅に出る。やがて彼らが指導層に成長すると、その中から区長や氏子総代、水利組合長などの長(おさ)を選んだ。「地域社会をまとめる重要なシステム。1歳差でも同行が別ならば『友だちとは呼ばない』というほどの結び付きだったといいます」

 ハチの大群から道真を守ったといわれる忠義のウソ。その関係と同じくらい強い絆で、100年以上も前に「おれたちずっと友だちだ」と示した証しの像なのかもしれない。

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