来れ、林業の担い手 佐賀市富士町、高校生体験会に同行

西日本新聞 佐賀版

 県内の森林面積に占める人工林の割合は、67%で全国トップ。木材販売などが目的の人工林は密集して植えられ、良質な木材にしたり山を守ったりするためには、間伐や山林内の草刈りなどの手入れが欠かせないが、林業を担う若者が少ないのが関係者の悩みだ。佐賀市が毎年、同市富士町の山林で高校生向けに開いている就業体験会に同行し、林業の現場を探った。

 「チェーンソーは地面に置いて起動させる。木に刃を当てれば重みで切れます」。今月8日、集まった佐賀農高と佐賀工高の生徒7人が、講師を務める富士大和森林組合の職員の指導でエンジンを起動させると、けたたましい音が山中に響いた。

 チェーンソーを扱うのは全員初めて。用意された丸太に向かい、木くずを飛ばして輪切りにした。佐賀農3年の手塚優介さん(18)は「想像より振動が大きい」。佐賀工1年の村岡愛菜さん(16)は「重さが5キロもあり大変だが、すぱっと切れて楽しい」と話した。

 県内では、林業の現場で働く森林組合職員は155人(2016年度)。10年前の334人から半減した。その一方で、木材利用できる林齢35~40年以上の人工林は、全体の80%に上っており、間伐や皆伐、その後の植林を通じて若い木を増やすことも急務だ。

 市の体験会は今年で5回目。過去、参加を機に富士大和森林組合に就職した職員もいる。

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 山奥に進むと、組合が所有者から管理を委託されたスギやヒノキの間伐の現場に到着した。「伐倒方向良し」。木を倒す向きを確認し、笛の音を合図に職員が根元にチェーンソーの刃を入れると、20メートル以上の大きな木がバキバキと音を立て、一気に倒れた。

 さらに圧巻なのは、コンピューターを搭載した高性能重機による伐採だ。運転席の職員がアームを操り、根本をつかむと先端に内蔵されたカッターですぐに裁断。枝を払い、幹の長さを4メートルずつに切りそろえる作業まで1台でこなす。わずか2~3分で一連の作業を終え、丸太の束ができた。

 現場には12メートル先まで伸びるアームで倒した木をたぐり寄せる重機や、切った丸太を搬出する運搬車も並ぶ。こうした機械の導入で以前より山中の作業負担が減り、生産性は4~5倍に上がった。「少人数で木をさっと切り倒し、すぐ丸太の束ができるとは。チェーンソーのみで作業していると思ったが印象が変わった」と佐賀工1年岩永かんなさん(15)。

 同組合の納富靖裕参事(44)は「間伐をすれば、山林に日光が差し込み下草が生え雨水による土砂流出も食い止める。災害防止にも一役買っていることもぜひ知って」と話す。

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 切り出された間伐材が搬入される市木材供給センターも見学した。樹種や幹の大きさで、住宅材のほか、パルプなど製紙、バイオマス発電の原材料に選別される。県内外の製材業者が買い付けに訪れるほか、佐賀平野の農地やクリークを維持するため土留め用のくいに用いられるものもある。

 一行は、木材加工する佐賀市内の工場で製材の過程を見て回り、最後は全員で椅子を作った。佐賀農3年の岡将広さん(17)は「就職を決める時期なので参加したが、林業の奥深さや楽しさが分かった。進路の一つに考えたい」。

 市は来年度も体験会を開く方針だ。同組合の杉山利則組合長(63)は「来年組合に入りたいという高校生もいるが、まだ若い世代は少ない。20、30代の転職者や移住者にも広げ、なりわいとしての林業をつなげていきたい」と話した。

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