大雨への備え 毎年来る「数十年に1度」

西日本新聞 オピニオン面

 梅雨の末期を思わせる豪雨である。「すすき梅雨」とも呼ばれる秋雨をもたらす前線が、夏休み最後の週、各地に大きな被害をもたらした。

 気象庁はきのう、福岡、佐賀、長崎各県の広範囲に大雨特別警報を発表した。県境をまたいで九州北部に出されるのは、九州豪雨、西日本豪雨に続き3年連続である。

 特別警報は「数十年に1度」の災害が差し迫ったときに発表される最大級の警報だ。それが「毎年1度」のペースになっている現実に驚くほかはない。

 梅雨明けから1カ月が過ぎ、酷暑への対応も一段落して迎えた秋の長雨の時季である。秋雨前線による大雨被害は過去にも2010年10月の鹿児島県・奄美豪雨など度々起きている。

 気象庁は昨夏、豪雨に関し、必ずしも明らかでなかった地球温暖化との因果関係に初めて言及した。温暖化が止まらない限り、海面からの水蒸気をエネルギー源にした豪雨が頻発し、被害は増え続けることになる。今回も、温暖化の影響で威力を増した豪雨だった可能性がある。

 佐賀県を中心に家屋の床上浸水や道路冠水が続発した。河川が氾濫し、土砂崩れも起きた。交通網は寸断され、多くの学校は臨時休校となった。走行中の車が流されるなどして死者は複数に上った。

 3県で計88万人を超す人に避難指示が出された。これだけの大人数が、どこに、どう逃げるのか。現実離れしていないか。戸惑いの声が上がったはずだ。

 先月初めにも同じ混乱が起きた。鹿児島市が激しい雨の恐れから市内全域の59万人余に避難指示を出したからだ。市内全域とはいっても、真に避難を要するのは、土砂崩れや河川氾濫などの恐れがある地域が中心だ。

 災害の種類にもよるが、避難所に行こうと外出すればむしろ危険なケースは多い。浸水に備え2階以上の部屋にとどまったり、山や斜面とは反対側の部屋に移ったりする選択肢もある。

 自治体が作成したハザード(被害予測)マップで、自宅周辺の危険箇所や災害別の避難場所を知ることができる。日ごろから頭に入れておき、避難指示が出ても慌てず、どう行動すべきか判断したい。「避難」とは自らの命を守ることである。

 気象庁によると、28日未明から明け方にかけて九州北部で積乱雲が次々と発生し、同じ地域に雨が降り続ける線状降水帯が形成された。近年の豪雨と同じ気象パターンである。

 それを踏まえた各自の経験則で、具体的な災害への備えを重ねている人も多かろう。9月は台風も多い。決して気を緩めず警戒を続けたい。

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